その医者は、大野と書いてあった。


  大野病院の院長先生か



「彼とは、同じ学校なの?」

「はい…」

「学校では、どんな子?」

「明るくて男女問わず好かれています。」


大野医師はにっこり笑った。


「明るくやってるんならよかった。」

そして、私の方を振り向いて


「仲良くしてあげてね。」


そう言って春江の脈をとり
出て行った。


  誰かに似てる・・・・



でも思い出せなかった。


そうしているうちに芳樹が戻ってきた。


「落ち着いたって、帰ろう。」

「うん、もういいの?
私はひとりで帰れるよ。
もう少しいてあげたら?」


「いてあげても、わからないからさ。
それにこの人は、俺じゃなくて
他の人にいてほしいんだ。」


春江の顔を悲しそうに見つめた。


そして私の手をとって
病院を後にした。