「じゃ・・・」

窓側に座っている二人がこちらを見ていた。

私は、芳樹に手を振り地下鉄に向かう。
素良は、逆方向に歩きだした。


  これからあの二人どうなるのかな

「気になるのか?」
後から声がした。

素良が遠周りして
私を追ってきた。

「来ると思った?」
意地悪く私の顔を覗く・・・・

罪悪感にかられながらも
心は躍った。


おかあさんに電話した。

「友達とご飯食べてるから
もうちょっといいでしょ?
明日は、家にいるから・・・・ね?」


おかあさんは、気を付けてかえってくるのよと
優しい声で言った。



「うそつきだな。
そんなに上手に嘘つくんだ。」


「人聞きの悪いこと言わないでよ。」


「俺といたいんでしょ?」


  いたい・・・・
  少しでも長く一緒にいたい・・・・


「うちにおいで。」

「そこまで、時間ないもの。」

「帰り、タクシーで帰ればいいよ。
俺に、まかせて。」


素良の魔法はすぐに私にかかった。

自己嫌悪に落ちながらも
素良に抱きしめられたいと
心が騒ぐ・・・・


素良と過ごす時間を想うだけで
身体が熱くなる


  わたしは絶対おかしいわ


タクシーで二人がいる店の横を通り過ぎる。

芳樹の肩に頭をのせて甘える千鶴がいた。
芳樹はジュースを飲んでいた。


それはそれで
やっぱりショックだった・・・・