「なんで、芳樹怒らせた?」

「なんでって、芳樹の話はいいよ。」
私は口をとがらかした。

「あいつは、自由人だから
怒らせるけど、怒ったことはない」


「芳樹と会ってる時に違うこと考えるなって
わかってるんだ。
気持ちよくわかるんだ、ひどいことだから。」

「やっぱ芳樹はホンキなんだ~
嫉妬しちゃったんだな~」

楽しそうに笑った。

「なんで、楽しそうなのかわからない。」


素良の馬鹿にした様子が許せなかった。

「好きな人が
自分と会ってるとき
自分以外のことを考えてるって
すごく悲しいんだよ。」

なんだか、芳樹の肩をもってしまった。


「素良にはわかんないだろうね~」

「なんで決めつける?」

「なんとなく…」


「俺だってわかるよ。」


「ちーは、俺といる間
ぷくちゃんと一緒にいる予定の
芳樹を考えてるから・・・・」



「なんだか複雑ね」


私だって
私と一緒にいる時間に
千鶴のこと考えてる素良が許せない



私は素良の唇を手で止めた。


「千鶴はまだ、芳樹が好きなんだ。」



   聞きたくない

   悲しい顔で言わないで…


わたしたち4人

四角関係

嫉妬ごころが入り乱れる



「可哀想な素良…」


私は、ほっといたらまだ
千鶴の話をしようとする
素良の唇をふさいだ。


   私を見て
   今だけは私だけを見ていてほしい


芳樹の怒った顔を想い浮かべた。



   芳樹に悪いことしちゃった…


「帰るわ。」

カバンを持って素良の部屋を飛び出した。