「あたし、なにか人を助けられるような仕事がしたいんだぁ。魔法を満足に使えなくて、今までいろんな人に迷惑かけた分、恩返しができたらなって」


夢を語るアカネは、明るさを取り戻したようだった。


色を変えたばかりのごみ箱が、やたらとキラキラしている。


「人助けか」


「うんっ。新田智則が苦しんでたときぃ、偶然あたしが現れたおかげでなんとかなったでしょ? あのときぃ、はじめて人助けができてすっごくうれしかったんだぁ」


僕はアカネの顔を見た。


あのときのことを思い出すように天井を見つめている。


「……人助けっていうのはさ、広く捉えれば、どんな仕事もそうだと思うんだ。たとえば僕が今やってる営業も、商品を買ってくれたお客様が喜んでくれたら、人助けって言えなくもないし」


「そっかぁ。じゃあ、どんな仕事でもいっかぁ」


「軽いな……まあでも、どんな仕事でもいいならさ、やってほしい仕事があるんだ」