僕はアカネが色を変えたばかりの就活情報誌を手に取った。


なんともいえない、奇妙な色をしている。


「ねえ、なんでアカネはこの世界にきたんだっけ？」


「あたし？　就活のヒントを見つけるためだよぉ。色を変える魔法がどんなことに使えるか、たしかめたかったんだぁ」


「……あのさ」僕は就活情報誌をごみ箱に向かって投げた。「アカネは、夢とかないの？」


「急にどうしたのぉ？」


「聞いてるとさ、アカネにはやりたいことがないんじゃないかと思っちゃうんだよね。たしかに自分の特技を生かすのも大事だろうけどさ、自分がやりたいことをやるのも大事なんじゃないのかな？」


「……だから夢ぇ？」


「そういうこと」


「夢かぁ。うん、あるよぉ」