憎愛者





『うわあああああああ!!!』



俺は美幸―いや、明美から離れる。明美は口を大きく開けて笑った。その声で恐怖が一層に増す。



『…無様な姿ね…』



嘲笑うかのような目付きで俺を見る明美。



力が抜けてその場に座り込んだ。身体が震えて上手く息が吸えない。



一度離れて出来た隙間を補うかのように明美が近づいてきた。



『…私が、怖いかしら…?』



明美の指先が俺の頬に触れた。ひんやりなんてもんじゃない。異様な冷たさが身体を駆け抜ける。



『…ねぇ…孝行…私、貴方が好きよ…愛してるわ…けどね、…今は…憎いわ…貴方が憎い…』



指先が首筋まで降りてきた