カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜後編

「舞…行きましょ?」


頬を片手で押さえてる私に、お母さんが窘めるように声をかけてきた。





「…やよ…絶対嫌だ!
カズキと私の赤ちゃんを殺す気?それでも私の親?」





「舞!」




また、父が腹をたててしまったらしく、再び私に手をあげようとした、瞬間だった。



リビングの扉が勢いよく開いた。





「何してるんですか?!」




そう叫んだ声の持ち主は、父を怒鳴りつけ、私の前に立ちはだかった。





「こいつ、殴らないで下さい。こいつが悪い訳じゃないから。殴って気が済むなら俺にして下さい」





喧嘩を売ってる様子ではなく、お願いをしているように感じる。




カズキのまっすぐな視線に、父は多少冷静を取り戻したようで、振り上げた腕を、ゆっくり戻していた。