輝side
舞の退院祝いは、まだ続いていた
笑い声の中にいるのに、どこかだけ空気が違う気がする
……気のせい…よね?
愛歌「輝、これお願いできる?」
輝「はい、愛歌先輩♪」
自然に返事をして、手を伸ばす
指先がほんの一瞬だけ触れた
それだけなのに、さっきより少しだけ胸の奥が落ち着かない
……なんでよ……
愛歌先輩は、いつも通りだった
何も気にしていないように笑って、普通に受け取る
その“普通さ”が、逆に距離を感じさせる
近いのに、遠い
そんな矛盾みたいな感覚だけが残る
璃也「輝、それこっちでいい?」
輝「うん、それでいい」
璃晶「輝、次こっち頼む」
輝「分かった」
いつも通りのやり取り
なのに、意識は何度も愛歌先輩に戻ってしまう
……変よね……
水晶「輝」
輝「水晶様」
水晶様の声に振り向く
水晶様は静かにこっちを見てる
水晶「今日は、少しだけ視線が多いわね」
輝「そうですか?」
水晶「ええ、“一人”にね」
輝「………………」
言い返せない
水晶様はそれ以上何も言わず、紅茶を口にする
璃晶「なぁ、愛歌!」
愛歌「なに?」
璃晶「輝のことどう思ってんだよ」
輝「えっ」
思わず声が出る
空気が一瞬だけ止まる
愛歌「どうって……」
少しだけ間があく…
愛歌「ちゃんとした後輩、だよ」
その言葉に、なぜか胸が少しだけ引っかかる
後輩………か…
分かっていたはずなのに……

![アイドル学園〜ステージに咲く美しい花〜 [完]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/1082306/swt8bhm8ap-thumb.jpg)

