【短編集】あの日、キミに恋をした。

空は今日も青く澄み渡っている。


「おはよう」

「あ、おはよう和実ちゃん」


今日は一段とご機嫌だなぁ。

もしかして…。


「風花ちゃん?」

「うん。始業式の後一緒にお花見することになってて。また川越行くんだけど、和実ちゃんも途中まで…」

「わたしは塾の時間まで自習室で勉強するつもりだから大丈夫。楽しんで来てね」

「うん、ありがとう」


裏表のない澄み切った笑顔。

昊透って名前が良く似合う。

私は入口近くの席の彼の前を通過し、自分の席に着く。

山ほどの参考書が入ったリュックを下ろし、式が始まるまで何を勉強しようかと荷物をあさっていると声をかけられた。


「平沢さん、おはよ。明日の入学式の式辞添削してもらえない?」

「うん、いいよ」


私は月雲くんから原稿用紙を受け取り、ひと通り目を通した。

これから先生に見せるんだろうけど、その前にわたしに通すのはいつものこと。

信頼してもらえてるのはいいけどちょっと荷が重いというのはここだけの秘密。


「うん、大丈夫だと思う」

「良かったぁ。なるべく今日は早く帰りたいからさ」


その言葉を聞いて察する。


「光莉ちゃんとどっか行くの?」

「はは、バレバレか。そう。今日ね新しいグッズの発売日で一緒に買いに行こうって約束してあるんだ」

「そっか。推し、いっぱい買えるといいね」

「だね。そのために徳を積まないと…」


なんて言いながら自分の席に戻って行く。