天使?
こんな可愛い子、学院にいたか?
小さいから1年か?
「ああ、俺は大丈夫だ。俺も考え事をしながら歩いていたからな。悪かった。お前も怪我はないか?」
思っていたことと全く違う言葉が口から出た。
そして柄にもなく、手を差し出し女子生徒を立ち上がらせた。
「ああ、筆箱が・・・。メガネのツルも折れちゃった・・・。」
彼女が散らばった文具を集めるのも手伝ってやった。
壊れたメガネも含め、全てをカバンに収めると彼女は満面の笑みを浮かべ礼を言った。
「手伝って下さって、ありがとうございました。」
彼女はペコリとお辞儀をすると、パタパタと走り去ってしまった。
あ、しまった。名前、聞きそびれた。
ぼうっと彼女の後ろ姿を見送り、アンドレアがそう気づいたのは彼女が見えなくなった後だった。
その時、ふと廊下の端っこに小さな手帳が落ちているのが目に入った。
彼女の生徒手帳か。
中を開くと、クラスと名前が書いてあった。
「1年A組、リア・アーロン。男爵令嬢か・・・。」
男爵家では、アンドレアの家とは家格が釣り合わない。
本妻はどこかの名家から調達して、あの子は愛人にしたらいいか。
うちの両親も、そうしているしな。
アンドレアはリアの生徒手帳を胸ポケットに入れ、ご機嫌で教室へと戻ったのだった。
放課後、アンドレアは急いで1年A組へと向かった。
手帳をリアに返し、今後の繋ぎとするのだ。
そして教室の前で、自分の手下として使っている1年の男子生徒をつかまえた。
侯爵家の配下の家の息子だ。
「おい、おまえ。リア・アーロンって子を呼んできてくれ。」
アンドレアに命令され、青い顔でブンブン頷いた男子生徒は、慌てて教室に入っていった。
帰り支度をしていたリアは、クラスメイトの男子に話しかけられた。
「リア。アンドレア様が呼んでるぞ。」
「アンドレア様って、誰?」
「アンドレア・ディアブロン侯爵令息だよ。お前、何かしたのか?」
名前も知らない人だ。
リアは首を横に振った。
よく分からないが、呼ばれているとのことなので、同級生が指差した後ろの扉の方へ行ってみた。
「あ、朝の・・・?」
朝に廊下でぶつかった先輩だ。
まさか、今になって足が痛み出したとかじゃないよね?
リアが不安に思っていると、ずいっと生徒手帳が差し出された。
「これ、おまえのだろう?」
「わざわざ届けて下さったんですか?ありがとうございます。」
なんだ。良かった。すごくいい先輩だった。
ホッとしてニコニコ笑うリアに、アンドレアも笑顔になった。
「それでだな、今度おれと・・・」
アンドレアが何かを言いかけたその時、廊下を通りかかったオズワルド先生が突然横から入りこみ、リアの肩をガシッとつかまえた。
「ああ!アーロン。君がつかまって良かった。先月の会計報告書に大きなミスが見つかってな。今日中に訂正して校長先生に提出しないといけないんだ。今から職員室に来て手伝ってくれないか?」
会計主任のオズワルド先生だ。
「まあ、それは大変。今行きます。先輩、手帳をありがとうございました!」
再びペコリとお辞儀をされ、リアは風のように先生と立ち去ってしまった。
「あ・・・」
アンドレアは伸ばした手をバツが悪そうにひっこめた。
まあ、名前もクラスも分かったし、また別の日にアプローチすればいいか。
リアとの楽しい生活を思い描きながら、アンドレアは1年の教室を去ったのだった。
こんな可愛い子、学院にいたか?
小さいから1年か?
「ああ、俺は大丈夫だ。俺も考え事をしながら歩いていたからな。悪かった。お前も怪我はないか?」
思っていたことと全く違う言葉が口から出た。
そして柄にもなく、手を差し出し女子生徒を立ち上がらせた。
「ああ、筆箱が・・・。メガネのツルも折れちゃった・・・。」
彼女が散らばった文具を集めるのも手伝ってやった。
壊れたメガネも含め、全てをカバンに収めると彼女は満面の笑みを浮かべ礼を言った。
「手伝って下さって、ありがとうございました。」
彼女はペコリとお辞儀をすると、パタパタと走り去ってしまった。
あ、しまった。名前、聞きそびれた。
ぼうっと彼女の後ろ姿を見送り、アンドレアがそう気づいたのは彼女が見えなくなった後だった。
その時、ふと廊下の端っこに小さな手帳が落ちているのが目に入った。
彼女の生徒手帳か。
中を開くと、クラスと名前が書いてあった。
「1年A組、リア・アーロン。男爵令嬢か・・・。」
男爵家では、アンドレアの家とは家格が釣り合わない。
本妻はどこかの名家から調達して、あの子は愛人にしたらいいか。
うちの両親も、そうしているしな。
アンドレアはリアの生徒手帳を胸ポケットに入れ、ご機嫌で教室へと戻ったのだった。
放課後、アンドレアは急いで1年A組へと向かった。
手帳をリアに返し、今後の繋ぎとするのだ。
そして教室の前で、自分の手下として使っている1年の男子生徒をつかまえた。
侯爵家の配下の家の息子だ。
「おい、おまえ。リア・アーロンって子を呼んできてくれ。」
アンドレアに命令され、青い顔でブンブン頷いた男子生徒は、慌てて教室に入っていった。
帰り支度をしていたリアは、クラスメイトの男子に話しかけられた。
「リア。アンドレア様が呼んでるぞ。」
「アンドレア様って、誰?」
「アンドレア・ディアブロン侯爵令息だよ。お前、何かしたのか?」
名前も知らない人だ。
リアは首を横に振った。
よく分からないが、呼ばれているとのことなので、同級生が指差した後ろの扉の方へ行ってみた。
「あ、朝の・・・?」
朝に廊下でぶつかった先輩だ。
まさか、今になって足が痛み出したとかじゃないよね?
リアが不安に思っていると、ずいっと生徒手帳が差し出された。
「これ、おまえのだろう?」
「わざわざ届けて下さったんですか?ありがとうございます。」
なんだ。良かった。すごくいい先輩だった。
ホッとしてニコニコ笑うリアに、アンドレアも笑顔になった。
「それでだな、今度おれと・・・」
アンドレアが何かを言いかけたその時、廊下を通りかかったオズワルド先生が突然横から入りこみ、リアの肩をガシッとつかまえた。
「ああ!アーロン。君がつかまって良かった。先月の会計報告書に大きなミスが見つかってな。今日中に訂正して校長先生に提出しないといけないんだ。今から職員室に来て手伝ってくれないか?」
会計主任のオズワルド先生だ。
「まあ、それは大変。今行きます。先輩、手帳をありがとうございました!」
再びペコリとお辞儀をされ、リアは風のように先生と立ち去ってしまった。
「あ・・・」
アンドレアは伸ばした手をバツが悪そうにひっこめた。
まあ、名前もクラスも分かったし、また別の日にアプローチすればいいか。
リアとの楽しい生活を思い描きながら、アンドレアは1年の教室を去ったのだった。


