君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

あの日以来、勇斗とは以前と変わらない距離感で接することができていると思う。

告白を断った気まずさは、勇斗の圧倒的な優しさによって、奇妙なほど自然に解消されていた。彼は本当に、何事もなかったかのように、いつも通りの笑顔で私に振る舞ってくれている。
その優しさに甘えて、私はまた『ただの友達』として、勇斗の隣に戻っていた。そこが今の私にとって、一番安心できて居心地が良い場所だと知ってしまっているから。

明里には、勇斗から告白されたことは結局言えなかった。

親友なら、隠し事なんてするべきじゃない。頭では痛いほどわかっているのに、どうしても言葉にできなかった。もし伝えてしまえば、今のこの穏やかな関係が、今度こそ完全に壊れてしまうような気がして……。

だからこれは私と勇斗、二人だけの秘密にする。
自分がどれだけ卑怯で最低な親友か、胸の奥でチクチクと痛む罪悪感から目を逸らしながら。

……そんなふうに、自己嫌悪を心の底に沈め、表面上は穏やかな日々を過ごしていたある日のこと。

クリスマスが近づき、街のイルミネーションが少しずつ華やぎ始めた頃、私は明里とクリスマスの予定を立てていた。

「彼氏がいない同士さ、二人でクリスマスパーティーでもやって、この寂しい季節を乗り越えようよ!」
「うん、そうだね! チキンとかピザとかケーキとかいっぱい用意して、豪勢にやっちゃおう!」

放課後の教室で、明里と二人で笑いながら、楽しいクリスマスの計画を立てる。
隠し事をしている後ろめたさは、常にある。それでも、こうして親友と他愛のないことで笑い合える温かい時間が何よりも愛おしく、この平穏がずっと続けばいいと願っていた。

その数日後の夜。
お風呂上がりの温まった部屋で、ベッドに寝転がりながら雑誌のクリスマス特集をパラパラと眺めていた時だった。

ブブッ。

私のスマホが、短い振動とともにLINEの通知音を鳴らした。
画面が明るくなり、暗い部屋の中にぼんやりとした光を落とす。

何気なくスマホを手に取り、画面に目を落とした瞬間――全身の血の気が、サァッと引いていくのがわかった。

送信者の名前。
そこに表示されていたのは、絶対に見間違いようのない、そして二度と見たくなかった文字だった。

……新太からだった。

一瞬、思考が完全に停止した。
彼が梨花と別れた後、しばらくして後輩と付き合い始めていたことは知っている。けれど、最近その子とも別れたと、風の噂で耳にしていた。
まさか、このタイミングで私に連絡してくるなんて、想像の欠片もしていなかった。

画面に表示された短い文章を、震える手で見つめる。

『いきなり連絡してごめん。今までのこと、謝りたくて。柚那を傷つけてごめん。返信してもらえると嬉しい。待ってる』

一気に蘇ってくる過去の記憶。
梨花との決別、新太の冷たい視線、息ができなくなるほどぐちゃぐちゃにされたあの時の感情……。

それらが真っ黒な濁流のように押し寄せてきて、心臓の音が耳障りなくらいに早くなる。指先が微かに震え、スマホを握る力がどんどん弱まっていった。

(どうして……今さら……)

謝られても、どうすればいいのか分からない。彼が何を考えているのか、その真意を推し量る余裕なんて、今の私には全くなかった。

見なかったことにしよう。
そう思って、逃げるようにスマホをベッドに伏せて置く。
……それなのに。

どうしても止まらない指先の震えと、乱れた呼吸が、私のトラウマがまだ少しも癒えてなどいないことを、残酷なほどに物語っていた。








平和な日々に突如鳴った、過去からの通知……!
やっと少しずつ前に進もうとしていた柚那の心はどうなってしまうのでしょうか。
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