学園祭と体育祭の本番が近づいた頃、私は「新太と梨花が別れた」という噂を耳にした。
別れた理由は定かではないが、どうやら梨花が新太から振られたらしい。
あれだけ周囲を巻き込んで自分たちの世界に入り浸っていたのに、あっけない終わりだった。
かつてなら大きな衝撃を受けていたかもしれないけれど、今の私の心には不思議なほど何も響かなかった。過ぎ去った嵐のあとのように、ただ静かで冷めた感情だけがそこにあった。
学園祭と体育祭が始まると、学校全体が異様な熱気に包まれ、それぞれのブロックが全力で競技や出し物に取り組んだ。
ブロック長としてブロックを率い、汗を流しながら声を張り上げる勇斗の姿を遠目に見かけるたび、胸の奥が誇らしさと切なさでいっぱいになる。
全員が全力を尽くした結果、私たちのパフォーマンスチームは惜しくも2位だったけれど、私の所属するブロックとしては見事、総合優勝を果たすことができた。
勇斗のブロックは優勝を逃してしまったけれど、すべてが終わった後、『お互い本当にお疲れ様!』と健闘を讃え合うLINEを交わし、私はとても温かい気持ちになった。
昨年と同じく、打ち上げはブロックごとに行われることになった。
私たちのブロックの打ち上げはかつてのようなトラブルもなく、みんなで健闘をたたえ合う楽しい雰囲気のまま、無事に幕を閉じた。
何事もなく平和にイベントが終わったことに、私は心からホッとしていた。
――打ち上げから数日後のこと。
私は明里と一緒に、いつものバイトに入っていた。
落ち着いた時間を見計らい、翌日の予約表を確認していると、私が担当するテーブルの欄に目が留まった。
『18:00〜 8名様』
「明日、8人の予約入ってたよ。忙しくなりそう」
私が声をかけると、明里がグラスを拭く手を止めて顔をしかめた。
「明日シフトに入ってなくてよかった~!あ、そういえば2組の子が、うちらのバイト先に少人数で打ち上げに来るって言ってたけど……もしかしてその子たちかな?」
2組――それは、あの梨花がいるクラスだ。
その瞬間、私の胸の中にスッと冷たい嫌な予感がよぎった。
「え……梨花たちも来るってこと……?」
私が不安を隠せずにそう漏らすと、明里は「大丈夫じゃない?」と私を安心させるように笑った。
「パフォーマンスチームじゃなくて、他のチームの人たちだと思うよ。聞いた子も、別のチームの子だったし」
明里の言葉に、「そうだよね」と少しだけ不安を押し込めようとした。
けれど、一度胸の奥で生まれかけたざわつきは、どうしても消えてはくれなかった。
どこか胸騒ぎを覚えたまま、私は翌日のシフトを迎えることになった。
別れた理由は定かではないが、どうやら梨花が新太から振られたらしい。
あれだけ周囲を巻き込んで自分たちの世界に入り浸っていたのに、あっけない終わりだった。
かつてなら大きな衝撃を受けていたかもしれないけれど、今の私の心には不思議なほど何も響かなかった。過ぎ去った嵐のあとのように、ただ静かで冷めた感情だけがそこにあった。
学園祭と体育祭が始まると、学校全体が異様な熱気に包まれ、それぞれのブロックが全力で競技や出し物に取り組んだ。
ブロック長としてブロックを率い、汗を流しながら声を張り上げる勇斗の姿を遠目に見かけるたび、胸の奥が誇らしさと切なさでいっぱいになる。
全員が全力を尽くした結果、私たちのパフォーマンスチームは惜しくも2位だったけれど、私の所属するブロックとしては見事、総合優勝を果たすことができた。
勇斗のブロックは優勝を逃してしまったけれど、すべてが終わった後、『お互い本当にお疲れ様!』と健闘を讃え合うLINEを交わし、私はとても温かい気持ちになった。
昨年と同じく、打ち上げはブロックごとに行われることになった。
私たちのブロックの打ち上げはかつてのようなトラブルもなく、みんなで健闘をたたえ合う楽しい雰囲気のまま、無事に幕を閉じた。
何事もなく平和にイベントが終わったことに、私は心からホッとしていた。
――打ち上げから数日後のこと。
私は明里と一緒に、いつものバイトに入っていた。
落ち着いた時間を見計らい、翌日の予約表を確認していると、私が担当するテーブルの欄に目が留まった。
『18:00〜 8名様』
「明日、8人の予約入ってたよ。忙しくなりそう」
私が声をかけると、明里がグラスを拭く手を止めて顔をしかめた。
「明日シフトに入ってなくてよかった~!あ、そういえば2組の子が、うちらのバイト先に少人数で打ち上げに来るって言ってたけど……もしかしてその子たちかな?」
2組――それは、あの梨花がいるクラスだ。
その瞬間、私の胸の中にスッと冷たい嫌な予感がよぎった。
「え……梨花たちも来るってこと……?」
私が不安を隠せずにそう漏らすと、明里は「大丈夫じゃない?」と私を安心させるように笑った。
「パフォーマンスチームじゃなくて、他のチームの人たちだと思うよ。聞いた子も、別のチームの子だったし」
明里の言葉に、「そうだよね」と少しだけ不安を押し込めようとした。
けれど、一度胸の奥で生まれかけたざわつきは、どうしても消えてはくれなかった。
どこか胸騒ぎを覚えたまま、私は翌日のシフトを迎えることになった。
