あれから、地獄のような3日間が経った。
考えないようにしていても、ふとした瞬間にどろどろとした想像が頭を支配する。
息ができなくなって泣き崩れ、涙が枯れるとただ呆然と天井を見つめる……。そんなことの繰り返しだった。
新太とは、一応LINEのやり取りは続いている。
けれど、その行間に滲む温度が、どうしようもなく冷たい気がしてならなかった。
今までの会話と何一つ変わらないはずなのに、私にだけはわかる。
絵文字の少なさ、返信のタイミング、言葉の端々に見える素っ気なさ。
そのメッセージに含まれる「何か」が、決定的に以前と違っているのだ。
それらがすべて、私の不安を加速させる材料になっていた。
次に会ったとき、ついに別れ話を切り出されるのだろうか。
私と別れて、そのまま梨花と……。
想像するだけで心臓が握り潰されそうになり、不安が消える瞬間は1秒たりともなかった。
それでも、無情にも学校のチャイムは鳴る。
重い体を引きずってなんとか登校してはいたけれど、廊下や教室で新太や梨花の姿が視界に入らないよう、息を潜めるようにして過ごした。
そんな中、ポケットの中でスマホが震えた。
画面に浮かんだ新太の名前に、ビクリと肩が跳ねる。
『今日一緒に帰れる? 家まで送るよ』
あぁ、やっぱり……。別れ話なんだ。
普段なら『一緒に帰ろう』なのに、わざわざ『家まで送るよ』と付け足された言葉が、ひどく事務的で冷たく見えた。
本当は、会いたくない。
直接あの口から決定的な言葉を聞かされるのが、ただ恐ろしかったから。
それでも、逃げてばかりじゃだめだ。自分の気持ちに決着をつけるために、私は震える指で返信を打った。
『うん、大丈夫だよ』
授業が終わり、放課後。
重い足取りで廊下を歩いていると、前から歩いてきた勇斗とすれ違った。
すれ違いざま、私の顔を見た瞬間、彼の足がピタリと止まる。
「柚那……?」
いつもは落ち着いているはずの彼の瞳が、微かに揺れていた。
その声はひどく心配そうで、私の痛みを分かち合おうとしてくれているように優しかった。
私の顔色があまりにも悪かったのだろう。彼は真剣な目でじっと私を見つめている。
「勇斗……。明里から、聞いてるよね。とりあえず……今日、新太と一緒に帰ることになってる」
無理に笑顔を作ろうとしたけれど、頬が引きつってうまく笑えなかった。
勇斗は眉を深くひそめ、何か言いたげに口を開きかけた。
けれど、これ以上彼の優しさに触れたら、ここで泣き崩れてしまいそうだったし、部活の時間も迫っていて、じっくり話す余裕なんて今の私にはない。
「……じゃあ、行くね」
私はそれだけ言うと、逃げるように足早にその場を去ることしかできなかった。
その後の部活中、私は真美、明里、そして千春にも、今日新太と一緒に帰ることを打ち明けた。
この3人は、今まで良いことも悪いことも、新太とのすべてを共有してきた大切な友達だ。
だからこそ、これから何が起きても受け止める覚悟として、今の状況を隠さず伝えておきたかった。
「……今日、新太と帰ることにしたの」
私がそう伝えると、三人は痛ましそうに表情を曇らせた。
「そう……。柚那、ちゃんと話せるといいね」
真美の言葉に、私は深く頷いた。
「うん。ありがとう。新太の言葉を、ちゃんと聞いてくる」
「……何かあったら、すぐに連絡して。いつでもいいから」
明里が心配そうに言ってくれた言葉に、千春も力強く頷いてくれる。
友達の優しさに触れて、こらえていた涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。
そして、部活が終わる時間がやってきた。
約束の場所へ向かう私の足は、まるで鉛のように重かった。
別れの言葉を告げられるかもしれない恐怖。
それでも、真実から目を背けることは、もうできなかった。
考えないようにしていても、ふとした瞬間にどろどろとした想像が頭を支配する。
息ができなくなって泣き崩れ、涙が枯れるとただ呆然と天井を見つめる……。そんなことの繰り返しだった。
新太とは、一応LINEのやり取りは続いている。
けれど、その行間に滲む温度が、どうしようもなく冷たい気がしてならなかった。
今までの会話と何一つ変わらないはずなのに、私にだけはわかる。
絵文字の少なさ、返信のタイミング、言葉の端々に見える素っ気なさ。
そのメッセージに含まれる「何か」が、決定的に以前と違っているのだ。
それらがすべて、私の不安を加速させる材料になっていた。
次に会ったとき、ついに別れ話を切り出されるのだろうか。
私と別れて、そのまま梨花と……。
想像するだけで心臓が握り潰されそうになり、不安が消える瞬間は1秒たりともなかった。
それでも、無情にも学校のチャイムは鳴る。
重い体を引きずってなんとか登校してはいたけれど、廊下や教室で新太や梨花の姿が視界に入らないよう、息を潜めるようにして過ごした。
そんな中、ポケットの中でスマホが震えた。
画面に浮かんだ新太の名前に、ビクリと肩が跳ねる。
『今日一緒に帰れる? 家まで送るよ』
あぁ、やっぱり……。別れ話なんだ。
普段なら『一緒に帰ろう』なのに、わざわざ『家まで送るよ』と付け足された言葉が、ひどく事務的で冷たく見えた。
本当は、会いたくない。
直接あの口から決定的な言葉を聞かされるのが、ただ恐ろしかったから。
それでも、逃げてばかりじゃだめだ。自分の気持ちに決着をつけるために、私は震える指で返信を打った。
『うん、大丈夫だよ』
授業が終わり、放課後。
重い足取りで廊下を歩いていると、前から歩いてきた勇斗とすれ違った。
すれ違いざま、私の顔を見た瞬間、彼の足がピタリと止まる。
「柚那……?」
いつもは落ち着いているはずの彼の瞳が、微かに揺れていた。
その声はひどく心配そうで、私の痛みを分かち合おうとしてくれているように優しかった。
私の顔色があまりにも悪かったのだろう。彼は真剣な目でじっと私を見つめている。
「勇斗……。明里から、聞いてるよね。とりあえず……今日、新太と一緒に帰ることになってる」
無理に笑顔を作ろうとしたけれど、頬が引きつってうまく笑えなかった。
勇斗は眉を深くひそめ、何か言いたげに口を開きかけた。
けれど、これ以上彼の優しさに触れたら、ここで泣き崩れてしまいそうだったし、部活の時間も迫っていて、じっくり話す余裕なんて今の私にはない。
「……じゃあ、行くね」
私はそれだけ言うと、逃げるように足早にその場を去ることしかできなかった。
その後の部活中、私は真美、明里、そして千春にも、今日新太と一緒に帰ることを打ち明けた。
この3人は、今まで良いことも悪いことも、新太とのすべてを共有してきた大切な友達だ。
だからこそ、これから何が起きても受け止める覚悟として、今の状況を隠さず伝えておきたかった。
「……今日、新太と帰ることにしたの」
私がそう伝えると、三人は痛ましそうに表情を曇らせた。
「そう……。柚那、ちゃんと話せるといいね」
真美の言葉に、私は深く頷いた。
「うん。ありがとう。新太の言葉を、ちゃんと聞いてくる」
「……何かあったら、すぐに連絡して。いつでもいいから」
明里が心配そうに言ってくれた言葉に、千春も力強く頷いてくれる。
友達の優しさに触れて、こらえていた涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。
そして、部活が終わる時間がやってきた。
約束の場所へ向かう私の足は、まるで鉛のように重かった。
別れの言葉を告げられるかもしれない恐怖。
それでも、真実から目を背けることは、もうできなかった。
