私たちのダンスチームの打ち上げは、後日行われ、特に大きな問題もなく楽しく終わった。
みんなで食事をして、優勝できなかった悔しさも笑い飛ばして、純粋に達成感を分かち合うことができた。
けれど、私にとっての本当の“問題”は、新太たちのチームの打ち上げの日だった。
新太は出発前、私を安心させるようにこう言ってくれていた。
『打ち上げ中も、時間を見つけて連絡入れるよ』
その言葉をお守りのように胸に抱いて、私は彼の打ち上げの日を迎えた。
『今から行ってくる!』
そう連絡がきたのは夕方のこと。新太たちのチームは、どうやら駅前の焼肉屋で打ち上げをするようだった。
『楽しんできてね』と返信を送り、私はスマホを机に置いた。
「連絡を入れる」と言ってくれた新太の言葉を信じて、私はなるべく平静を装って夜の時間を過ごそうとした。
それから数時間が経ち、次にスマホが震えたのは21時近くのことだった。
『2次会でカラオケに行くことになった!』
画面に表示された文字を見て、心臓がどくりと嫌な音を立てた。
カラオケ。薄暗くて、距離が近くて、密室の空間。
嫌な想像ばかりが膨らんで、私は不安に駆られるまま、意を決して誰がいるのかを聞いてみた。
数分後、返ってきたLINEには、一番見たくない名前が並んでいた。
『数人の先輩たちと、同級生は梨花や茉莉たち女子4人。あとは同じクラスの男子が2人程度だよ』
……聞くんじゃなかった。
画面を見つめたまま、私は唇を強く噛み締めた。
いっそ知らないままの方が、どれほどよかっただろう。
あの中には、梨花がいる。あの言葉の向かう先が新太なんじゃないかと、私をずっと不安にさせている彼女が、深夜のカラオケという空間で今、新太のそばにいるのだ。
その日のそのやり取りを最後に、新太からの連絡はぱったりと途絶えた。
時計の針が0時を回り、1時になり、2時を過ぎる。
静まり返った部屋の中で、私はベッドの上に体育座りになり、握りしめたスマホの画面を何度も何度も確認した。
時間が過ぎるごとに、不安は形を変えて恐怖へと変わっていく。
通知音の鳴らない真っ暗な画面が、私という存在を拒絶しているように見えた。
待てど暮らせど、画面に通知が届くことはなかった。
結局、一睡もできないまま、窓の外が白み始めていった。
ーーーーーーーーーー
翌日。
新太から連絡があったのは、太陽もすっかり高くなったお昼も近くなってからだった。
『連絡ごめん。今起きた!』
何事もなかったかのような、あっけらかんとした短い文面。
私は震える指で、ずっと聞きたかった、でも聞きたくなかった問いを打ち込んだ。
『……結局、何時まで2次会だったの?』
しばらくして、返信が届く。
『多分3時くらいかな? あんまり覚えてないけど』
……3時。
あんまり、覚えてない?
新太のその返信で、私が納得なんてできるはずもなかった。
どうして記憶が曖昧になるの?
その時間まで、梨花たちと一緒に、何をして、何を話していたの?
夜中、私がどれだけスマホを握りしめて、泣きそうになりながら待っていたか、想像もしなかったの?
問い詰めたい言葉は、喉の奥まで溢れかえっていた。
けれど、同時に私は、「これ以上なにも聞かない方がいい」と直感した。
これ以上深追いして、もし最悪の真実を知ってしまったら。
新太から、決定的な言葉を聞かされてしまったら。
自分の中で必死に押し殺してきた不安が、今の何倍にも膨れ上がって私を壊してしまうのが怖くて。
私は画面を見つめたまま、それ以上、言葉を返すことができなかった。
みんなで食事をして、優勝できなかった悔しさも笑い飛ばして、純粋に達成感を分かち合うことができた。
けれど、私にとっての本当の“問題”は、新太たちのチームの打ち上げの日だった。
新太は出発前、私を安心させるようにこう言ってくれていた。
『打ち上げ中も、時間を見つけて連絡入れるよ』
その言葉をお守りのように胸に抱いて、私は彼の打ち上げの日を迎えた。
『今から行ってくる!』
そう連絡がきたのは夕方のこと。新太たちのチームは、どうやら駅前の焼肉屋で打ち上げをするようだった。
『楽しんできてね』と返信を送り、私はスマホを机に置いた。
「連絡を入れる」と言ってくれた新太の言葉を信じて、私はなるべく平静を装って夜の時間を過ごそうとした。
それから数時間が経ち、次にスマホが震えたのは21時近くのことだった。
『2次会でカラオケに行くことになった!』
画面に表示された文字を見て、心臓がどくりと嫌な音を立てた。
カラオケ。薄暗くて、距離が近くて、密室の空間。
嫌な想像ばかりが膨らんで、私は不安に駆られるまま、意を決して誰がいるのかを聞いてみた。
数分後、返ってきたLINEには、一番見たくない名前が並んでいた。
『数人の先輩たちと、同級生は梨花や茉莉たち女子4人。あとは同じクラスの男子が2人程度だよ』
……聞くんじゃなかった。
画面を見つめたまま、私は唇を強く噛み締めた。
いっそ知らないままの方が、どれほどよかっただろう。
あの中には、梨花がいる。あの言葉の向かう先が新太なんじゃないかと、私をずっと不安にさせている彼女が、深夜のカラオケという空間で今、新太のそばにいるのだ。
その日のそのやり取りを最後に、新太からの連絡はぱったりと途絶えた。
時計の針が0時を回り、1時になり、2時を過ぎる。
静まり返った部屋の中で、私はベッドの上に体育座りになり、握りしめたスマホの画面を何度も何度も確認した。
時間が過ぎるごとに、不安は形を変えて恐怖へと変わっていく。
通知音の鳴らない真っ暗な画面が、私という存在を拒絶しているように見えた。
待てど暮らせど、画面に通知が届くことはなかった。
結局、一睡もできないまま、窓の外が白み始めていった。
ーーーーーーーーーー
翌日。
新太から連絡があったのは、太陽もすっかり高くなったお昼も近くなってからだった。
『連絡ごめん。今起きた!』
何事もなかったかのような、あっけらかんとした短い文面。
私は震える指で、ずっと聞きたかった、でも聞きたくなかった問いを打ち込んだ。
『……結局、何時まで2次会だったの?』
しばらくして、返信が届く。
『多分3時くらいかな? あんまり覚えてないけど』
……3時。
あんまり、覚えてない?
新太のその返信で、私が納得なんてできるはずもなかった。
どうして記憶が曖昧になるの?
その時間まで、梨花たちと一緒に、何をして、何を話していたの?
夜中、私がどれだけスマホを握りしめて、泣きそうになりながら待っていたか、想像もしなかったの?
問い詰めたい言葉は、喉の奥まで溢れかえっていた。
けれど、同時に私は、「これ以上なにも聞かない方がいい」と直感した。
これ以上深追いして、もし最悪の真実を知ってしまったら。
新太から、決定的な言葉を聞かされてしまったら。
自分の中で必死に押し殺してきた不安が、今の何倍にも膨れ上がって私を壊してしまうのが怖くて。
私は画面を見つめたまま、それ以上、言葉を返すことができなかった。
