君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

それから私たちは、夜のビーチでいろんな話をした。

2年生になって別々のクラスでの日々はどうとか、部活はどんな様子か、とか。
お互いの知らない小さな日常を埋めるように、言葉を交わしていく。

新太の首元で静かにきらめくネックレスと、私の手首にあるブレスレットが、波の音に合わせて時折優しく光っていた。

他愛のない話で盛り上がっているうちに、時間はあっという間に過ぎていく。

「……あ、もうそろそろ時間だな。先生たちが見回りに来る前に戻らないと」

新太がスマホの時計を見て言った。
私も「そうだね」と頷く。

二人で砂を払って立ち上がり、静かな夜のビーチをあとにする。
ホテルの裏口から館内に入り、エレベーターの前までやってきた。

「じゃあ、また明日な。残りの沖縄も楽しもう」
「うん、おやすみ、新太」

エレベーターホールでそれぞれ手を振り、新太は男子フロアへ、私は女子フロアへと戻っていった。

部屋のベッドに倒れ込み、手首のブレスレットをそっと撫でる。
新太は私のことをちゃんと考えてくれている。

あの星空の下での温もりを思い出して、私は幸せな気持ちで眠りについた。

そのあとの沖縄での旅も、本当にあっという間に過ぎていった。
こうして、たくさんの思い出を詰め込んだ私たちの修学旅行は、幕を閉じた。


ーーーーーーーーーー


修学旅行が終わり、またいつもの学校生活が始まった。

クラスはみんなと離れてしまったけれど、真美とは部活で毎日会えるし、明里との新しいアルバイトも少しずつ慣れてきて、毎日がぐっと充実していた。

そんな、ある日の放課後のこと。
部活へ向かおうと廊下を歩いていると、違うクラスの明里に呼び止められた。

「あ、柚那! ちょうどよかった」

明里はそう言って私の腕を掴むと、人気のない窓際へと引っ張っていった。
いつもはハキハキしている明里が、どこかそわそわして、頬をほんのりピンク色に染めている。

「どうしたの、改まって」
「あ、うん。……実はね、柚那に協力してほしいことがあるの」

明里は上目遣いで、恥ずかしそうに、だけど真っ直ぐな目で聞いてきた。

「ねぇねぇ、柚那。鈴村くんって、普段どんな感じの人なの?」

「勇斗?」

思わぬ名前に、私は少し驚いて目を丸くした。

「んー、すごく優しいし、いつも私の相談にものってくれるよ。……勇斗がどうかしたの?」

私がそう答えると、明里は頬の赤みをさらに濃くして言った。

「実はさ……1年生の時から、鈴村くんってかっこいいなーってずっと思ってて! 鈴村くんの連絡先、教えてほしいなと思ってさ」

「あ!なるほどね、そういう感じね!笑」

明里のピュアで可愛い告白に、私の胸は一気に躍った。
明里が勇斗のことをそんな風に思っていたなんて、全然気づかなかった。

「わかった、勇斗本人に聞いてみるね!」
「本当!? ありがとう、柚那!」

嬉しそうに微笑む明里を見て、私までなんだかワクワクしてしまった。

その日の夜、私はさっそく勇斗にLINEを送った。

『おつかれー!あのさ、私の友達の明里って知ってるよね?その子が勇斗の連絡先知りたいみたいで、教えても大丈夫かな?』

少しして、画面に通知が滑り込んできた。

『明里ちゃんって、柚那といつも一緒にいる子だよね?顔はあんまり覚えてないけど、笑。柚那の友達ならいいよー』

スマホの画面を見つめながら、「ふふっ、勇斗らしいな」と思わず口角が上がる。
顔を覚えていないと言いつつも、あっさりと許可をくれるところが、いかにも彼らしかった。

私はすぐに明里へLINEを送る。

『勇斗に確認したら大丈夫だって!連絡先送るね!ファイトっ!!』

すぐに明里から、飛び跳ねているような可愛いスタンプと一緒に、お礼のLINEが返ってきた。

スマホの画面を閉じながら、私は温かい気持ちで胸を膨らませる。

「勇斗と明里、うまくいくといいなー」

自分の大切な友達同士。
二人の間にこれから始まるかもしれない恋の予感に、私は心の底からエールを送っていた。