家に帰ってから、夕食とお風呂を済ました。
夕食は、味がしない何かを口に運んでいただけで。お風呂も、気づけば全部終わっていた。
そのあと、自分の部屋へ戻りただひたすらにスマホの画面を見つめていた。
(なんて切り出せばいいんだろう……)
今、雅人の中で私の立ち位置はいったい何なんだろう。
私は、本当に彼の「彼女」なのかな。
もしかして、雅人の中ではもう、私たちの関係は終わっているんだろうか。
ぐるぐると回り続ける思考を止めたくて、震える指先で短いLINEを送った。
『今、忙しいかな? 連絡待ってます』
……でも、その夜、スマホが震えることはなかった。
次の日。
学校では、いつも通りに過ごした。
ありがたいことに、遥のほかにも友達ができて、みんなと一緒にいる間は悲しい現実を忘れて楽しく笑うことができた。
けれど、昼休みにふとスマホを見ると、雅人から昨日の返信が届いた。
『最近なかなか連絡できなくてごめん。話したいことあるから、今日の夜また連絡する』
その文字を見た瞬間、胸がツンと痛んだ。
(あぁ……きっと、振られるんだな)
直感でそう察した。
夜までに心の準備をして、最悪のパターンを覚悟しておけば、実際に言われたときにあまり傷つかなくて済むかもしれない。
そう思って自分に言い聞かせ続けたけれど、結局、夜になってもそんな都合のいい覚悟なんてできていなかった。
そして夜、ついに雅人から連絡が来た。
『今部活終わったよ。電話じゃあまりうまく話せなさそうだから、LINEで話すね』
その一文を見て、私は少し拍子抜けした。
(え? LINEなんだ……。じゃあ、私が思っているほど重要なことでもないのかな?)
「話したいことがある」なんて言われて、最悪の結末ばかりを想像して身構えていたけれど、わざわざLINEで済ませるくらいだ。そこまで深刻な話じゃないのかもしれない。
そうだったらいいな……という淡い期待が、胸の奥で小さく芽生える。
だけど、そんな私の微かな希望を容赦なく打ち砕くように、雅人からの決定的な言葉が届いた。
『高校に入学して最初の頃は柚那と会えていたけど、部活が始まって忙しくなって、会う時間もなくて連絡もなかなか返せなくて。このままじゃ柚那に申し訳ないと思った。俺の身勝手だけど、別れよう』
由紀から聞いたカラオケの話や、女の子の話は、これっぽっちも出てこなかった。
それっぽい別れる理由を並べて、綺麗に終わらせようとしている。
私は静かに画面を見つめ、聞きたかったことを打ち込んだ。
『雅人の話は分かったよ。ひとつ聞きたいことがあるんだけど、いま付き合ってる子いるの? 友達から、雅人が他の人と付き合ってるって話を聞いたんだけど……それはどういうこと?』
数分後、すぐに返ってきたのは、必死に言い訳をするような言葉だった。
『付き合ってるやつなんていないよ! 一方的にLINEを送ってくるやつはいるけど、そいつのことかも』
何が本当で、何が嘘なのか、もう今の私にはわからなかった。
でも、ひとつだけ確実にわかってしまったことがある。
仮に本当に浮気をしていなかったとしても。
他の女の子に声をかけたり、連絡先を交換して一方的にLINEを送られるような関係を作る時間はあって――私に連絡を返す数秒の時間は、無かったんだ。
そう思ったら、すとんと、何かが腑に落ちた。
それと同時に、もう何もかもがどうでもよくなった。
『そうなんだね。私も最近なかなか雅人と会えなかったし、連絡も全然取れなくてもうダメかなと思ってた。こんな話をLINEで済ませようとしてるのもどうかと思うけど、これが最後だと思うから言っておくね。今までありがとう。楽しかったよ』
「嘘つき」と言ってやりたかった。付き合っている女の人のことも問い詰めたかった。けれど、今の雅人に言ったところできっと何も響かないし、また言い訳を重ねるだけ。そう悟ったら、急に馬鹿らしくなった。
そうして、私たちのあっけない5ヶ月の恋は、光る液晶画面の中で幕を閉じた。
夕食は、味がしない何かを口に運んでいただけで。お風呂も、気づけば全部終わっていた。
そのあと、自分の部屋へ戻りただひたすらにスマホの画面を見つめていた。
(なんて切り出せばいいんだろう……)
今、雅人の中で私の立ち位置はいったい何なんだろう。
私は、本当に彼の「彼女」なのかな。
もしかして、雅人の中ではもう、私たちの関係は終わっているんだろうか。
ぐるぐると回り続ける思考を止めたくて、震える指先で短いLINEを送った。
『今、忙しいかな? 連絡待ってます』
……でも、その夜、スマホが震えることはなかった。
次の日。
学校では、いつも通りに過ごした。
ありがたいことに、遥のほかにも友達ができて、みんなと一緒にいる間は悲しい現実を忘れて楽しく笑うことができた。
けれど、昼休みにふとスマホを見ると、雅人から昨日の返信が届いた。
『最近なかなか連絡できなくてごめん。話したいことあるから、今日の夜また連絡する』
その文字を見た瞬間、胸がツンと痛んだ。
(あぁ……きっと、振られるんだな)
直感でそう察した。
夜までに心の準備をして、最悪のパターンを覚悟しておけば、実際に言われたときにあまり傷つかなくて済むかもしれない。
そう思って自分に言い聞かせ続けたけれど、結局、夜になってもそんな都合のいい覚悟なんてできていなかった。
そして夜、ついに雅人から連絡が来た。
『今部活終わったよ。電話じゃあまりうまく話せなさそうだから、LINEで話すね』
その一文を見て、私は少し拍子抜けした。
(え? LINEなんだ……。じゃあ、私が思っているほど重要なことでもないのかな?)
「話したいことがある」なんて言われて、最悪の結末ばかりを想像して身構えていたけれど、わざわざLINEで済ませるくらいだ。そこまで深刻な話じゃないのかもしれない。
そうだったらいいな……という淡い期待が、胸の奥で小さく芽生える。
だけど、そんな私の微かな希望を容赦なく打ち砕くように、雅人からの決定的な言葉が届いた。
『高校に入学して最初の頃は柚那と会えていたけど、部活が始まって忙しくなって、会う時間もなくて連絡もなかなか返せなくて。このままじゃ柚那に申し訳ないと思った。俺の身勝手だけど、別れよう』
由紀から聞いたカラオケの話や、女の子の話は、これっぽっちも出てこなかった。
それっぽい別れる理由を並べて、綺麗に終わらせようとしている。
私は静かに画面を見つめ、聞きたかったことを打ち込んだ。
『雅人の話は分かったよ。ひとつ聞きたいことがあるんだけど、いま付き合ってる子いるの? 友達から、雅人が他の人と付き合ってるって話を聞いたんだけど……それはどういうこと?』
数分後、すぐに返ってきたのは、必死に言い訳をするような言葉だった。
『付き合ってるやつなんていないよ! 一方的にLINEを送ってくるやつはいるけど、そいつのことかも』
何が本当で、何が嘘なのか、もう今の私にはわからなかった。
でも、ひとつだけ確実にわかってしまったことがある。
仮に本当に浮気をしていなかったとしても。
他の女の子に声をかけたり、連絡先を交換して一方的にLINEを送られるような関係を作る時間はあって――私に連絡を返す数秒の時間は、無かったんだ。
そう思ったら、すとんと、何かが腑に落ちた。
それと同時に、もう何もかもがどうでもよくなった。
『そうなんだね。私も最近なかなか雅人と会えなかったし、連絡も全然取れなくてもうダメかなと思ってた。こんな話をLINEで済ませようとしてるのもどうかと思うけど、これが最後だと思うから言っておくね。今までありがとう。楽しかったよ』
「嘘つき」と言ってやりたかった。付き合っている女の人のことも問い詰めたかった。けれど、今の雅人に言ったところできっと何も響かないし、また言い訳を重ねるだけ。そう悟ったら、急に馬鹿らしくなった。
そうして、私たちのあっけない5ヶ月の恋は、光る液晶画面の中で幕を閉じた。
