君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

新太から連絡があったのは、翌朝のことだった。

画面に通知が表示されたのは、私が学校へ行く準備をしている最中だった。

『入院した』

画面に表示された、たった4文字。

信じられなくて、私は何度も目をこすった。
何かの間違いじゃないか。新太が、入院?

慌てて返信のボタンをタップする。

『どうしたの? どこに入院してるの?』

震える指で立て続けにメッセージを送るけれど、画面の向こうからは何の反応もない。
既読すらつかない。

その冷たい画面を、私はただ祈るような気持ちで見つめ続けていた。

スマホを握りしめたまま、学校へ向かう足取りも重い。
授業中も、先生の声なんて一つも耳に入ってこなかった。

ポケットの中のスマホが震えるたびに、心臓が跳ね上がる。
だけど、画面を確認しても、通知は来ていない。

既読のつかない時間が、これほどまでに長く、恐ろしいものだなんて知らなかった。

やっと返信が届いたのは、それから長い時間が過ぎた夕方のことだった。

『何も返信できなくてごめん。入院の手続きとか検査で、ずっと動けなくて連絡できなかった』

短い文面から、彼の必死さが伝わってくる。

『入院の理由は、髄膜炎だった』

髄膜炎――。

聞いたことのない、響きの悪い病名。
私は急いでスマホでその病名を検索した。

画面をスクロールする指が、小さく震える。
検索結果の画面にびっしりと並ぶ文字を読み進めていくたびに、すうっと血の気が引いていくのがわかった。

『激しい頭痛』『意識障害』『後遺症』……。

治る病気ではあるけれど、重症化すれば命に関わることもある。
後遺症が残ることもある。

最悪の事態を並べた無機質な文字が、私の視界を真っ白に塗りつぶした。

しかも、その後に続いた新太の言葉は、さらに追い打ちをかけるものだった。

『今の状態を詳しく調べている最中なんだ。原因によっては、後遺症が残る可能性もあるって医師から説明された』

新太が、そんな病気と闘っているなんて。
後遺症が残るかもしれないなんて。

頭が真っ白になって、呼吸の仕方もわからなくなる。完全にパニックだった。

今まで美波のことでモヤモヤしていたことなんて、どうでもよかった。
そんなちっぽけな悩みなんて、一瞬で消え去った。

検査の結果が出るのは明日だと聞いた。

今夜は、きっと眠れない。

スマホの画面を見つめながら、私はただ、彼の痛みが少しでも和らぎますようにと、祈ることしかできなかった。