美波のことで、まだ胸の奥が少しだけモヤモヤとしていたある日のこと。
夜、新太と連絡を取り合っていた。いつもならもう少し遅くまで続くのに、随分と早い時間に、彼から唐突にLINEが届いた。
『頭が痛い。薬飲んだけど効かないから、もう寝るわ』
「そっか、部活の疲れが溜まってるのかな……」
いつもよりずっと素っ気ない短い文面。
いつもなら「おやすみ」の前にいくつもスタンプが送られてくるし、もう少しだけたわいないやり取りが続くはずなのに。
素っ気ないことへの寂しさよりも、それ以上に胸を占めたのは「大丈夫かな」という純粋な心配だった。
私は『無理しないでね。ゆっくり休んで。明日元気になってますように。おやすみ』と、心配と祈りを込めたLINEを返して、静かにスマホをベッドの脇に置いた。
そして、次の日。
朝起きて真っ先にスマホの画面を確認したけれど、新太からの返信はまだなかった。
(まだ寝てるのかな……)
学校に行っても、やっぱり新太の姿は見当たらなかった。
いつもだったら「おはよう」とか「今日遅刻しそう」とか、学校にいる間もこまめにやり取りをしているのに。
今日はお昼休みになっても、画面の通知は静かなままだった。
午前中は私も授業や委員会でバタバタと忙しく、新太のクラスである5組を覗きに行けたのは、お昼を少し過ぎてからのことだった。
教室の入り口から中を見渡していると、私に気づいた勇斗が席を立って、こちらまで歩み寄ってきてくれた。
「柚那、どうした?」
「あ、勇斗。……今日って、新太学校に来てる? 朝から連絡しても全然返信がなくて」
私が尋ねると、勇斗は少し驚いたような顔をして首を傾げた。
「新太なら、今日学校休んでるよ。あいつ、朝のホームルームからいなかったし。柚那聞いてなかったか?」
「え……うん。昨日、頭が痛いって言って早めに寝ちゃったから。そっか、やっぱり体調悪かったんだ……」
新太は、学校を休んでいた。
昨日「頭が痛い」って言っていたし、きっと風邪か、部活の疲れが出ただけだよね。
そう自分に言い聞かせるけれど、胸の奥でチリチリと不安が渦巻く。
もし体調を崩して寝込んでいたとしても、LINEの一通くらいは返せそうなのに。
トイレに起きたときとか、水を飲むときとか。スマホを見る一瞬すらないなんてこと、あるのかな。
だっていつもなら、どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、新太は絶対に何かしらの言葉を返してくれていたから。
(……そんなに酷いのかな。何かあったんじゃないよね)
そんな不安が頭をよぎり、何度もスマホのロック画面を解除しては、昨日の夜から更新されていないLINEのトーク画面を眺める。
画面を見つめても、当然新しい通知は来ていない。
「……お願い、返信して」
誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いて、私はまたスマホを制服のポケットにしまった。
胸の中に広がっていく、どうしようもない心配と、得体の知れない寂しさ。
その日は結局、放課後になっても、夜になってベッドに入っても、新太からの返信は一度もなかった。
夜、新太と連絡を取り合っていた。いつもならもう少し遅くまで続くのに、随分と早い時間に、彼から唐突にLINEが届いた。
『頭が痛い。薬飲んだけど効かないから、もう寝るわ』
「そっか、部活の疲れが溜まってるのかな……」
いつもよりずっと素っ気ない短い文面。
いつもなら「おやすみ」の前にいくつもスタンプが送られてくるし、もう少しだけたわいないやり取りが続くはずなのに。
素っ気ないことへの寂しさよりも、それ以上に胸を占めたのは「大丈夫かな」という純粋な心配だった。
私は『無理しないでね。ゆっくり休んで。明日元気になってますように。おやすみ』と、心配と祈りを込めたLINEを返して、静かにスマホをベッドの脇に置いた。
そして、次の日。
朝起きて真っ先にスマホの画面を確認したけれど、新太からの返信はまだなかった。
(まだ寝てるのかな……)
学校に行っても、やっぱり新太の姿は見当たらなかった。
いつもだったら「おはよう」とか「今日遅刻しそう」とか、学校にいる間もこまめにやり取りをしているのに。
今日はお昼休みになっても、画面の通知は静かなままだった。
午前中は私も授業や委員会でバタバタと忙しく、新太のクラスである5組を覗きに行けたのは、お昼を少し過ぎてからのことだった。
教室の入り口から中を見渡していると、私に気づいた勇斗が席を立って、こちらまで歩み寄ってきてくれた。
「柚那、どうした?」
「あ、勇斗。……今日って、新太学校に来てる? 朝から連絡しても全然返信がなくて」
私が尋ねると、勇斗は少し驚いたような顔をして首を傾げた。
「新太なら、今日学校休んでるよ。あいつ、朝のホームルームからいなかったし。柚那聞いてなかったか?」
「え……うん。昨日、頭が痛いって言って早めに寝ちゃったから。そっか、やっぱり体調悪かったんだ……」
新太は、学校を休んでいた。
昨日「頭が痛い」って言っていたし、きっと風邪か、部活の疲れが出ただけだよね。
そう自分に言い聞かせるけれど、胸の奥でチリチリと不安が渦巻く。
もし体調を崩して寝込んでいたとしても、LINEの一通くらいは返せそうなのに。
トイレに起きたときとか、水を飲むときとか。スマホを見る一瞬すらないなんてこと、あるのかな。
だっていつもなら、どんなに忙しくても、どんなに疲れていても、新太は絶対に何かしらの言葉を返してくれていたから。
(……そんなに酷いのかな。何かあったんじゃないよね)
そんな不安が頭をよぎり、何度もスマホのロック画面を解除しては、昨日の夜から更新されていないLINEのトーク画面を眺める。
画面を見つめても、当然新しい通知は来ていない。
「……お願い、返信して」
誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いて、私はまたスマホを制服のポケットにしまった。
胸の中に広がっていく、どうしようもない心配と、得体の知れない寂しさ。
その日は結局、放課後になっても、夜になってベッドに入っても、新太からの返信は一度もなかった。
