それから、二学期が始まってしばらく経ったある日のこと。
放課後、美波に「あらたまって話があるから、今日の帰り、どこかで聞いてほしい」と真面目な顔で頼まれた。
いつも明るい美波がそんなトーンで話すなんて珍しい。
場所を私の家に移し、自室の床に座ると、美波はそわそわと膝を抱え込んだ。
「柚那……どうしよう。私、勇斗のこと好きかもしれない」
「えっ!? 本当に!?」
まさかの言葉に、私は思わず声を上げて身を乗り出した。
夏休み中も四人で楽しく過ごす中で、美波は勇斗を男の子として意識し始めていたらしい。
「いつから……!? でも、なんで『どうしよう』なの?」
美波は困ったように苦笑いをして、視線を落とした。
「だって勇斗、私の気持ちに全然気づいてないし……あいつ、あからさまに脈ナシっぽいんだよね」
美波の寂しそうな横顔に、胸がキュッとなる。
どうにかして応援してあげたい。私は純粋にそう思った。
「まだ分からないじゃん! 恋なんてこれからだよ!! 私、全力で応援するから!」
私の言葉に、美波は拳をぎゅっと握りしめて頷いた。
その夜、部屋でくつろいでいると、勇斗からLINEが届いた。
『いきなりごめん。美波のことで、聞いてもらいたいことがあって』
『柚那、美波から何か話聞いてたりする?』
『正直、めちゃくちゃ戸惑ってて……友達としてはすごく良い奴だし、傷つけるのも嫌でさ』
勇斗は本当に誠実で、優しい男の子だ。
真っ直ぐな美波の想いに、どう返事をしていいのか困っているんだろう。
私はすぐに返信を打った。
『うん、少しだけ聞いてるよ! まあ最終的に決めるのは勇斗だけど、あんまり深く考えすぎずに、一回流れに任せてみてもいいんじゃない?』
それから翌日のお昼休み。
お弁当を広げようとすると、美波が息を切らして駆け寄ってきた。
「柚那……! 私、勇斗に告白した……!」
「えっ!? 展開早すぎない!?」
美波は頬を真っ赤にして、幸せそうにはにかんだ。
「あのね、勇斗、最初は『まだ考えられない』って言ってたんだけど……」
「……え?」
「柚那が『流れに任せてみたら』って勇斗に言ったのが響いたみたいでね! 私、勇斗に『柚那もそう言ってるし、とりあえず付き合ってみようよ!』って、もう一度だけ食い下がったの!」
(……私の言葉が、勇斗の背中を押したの?)
自分の言葉で美波の恋が叶ったことは嬉しいはずなのに、なぜかほんの少しだけ、胸の奥がチクッとした気がした。
「よかったね、美波! おめでとう!」
私は心からの笑顔で、美波の肩をポンと叩いた。
その日の夜、グループLINEに通知が並んだ。
美波:『みんなに報告! 勇斗と付き合うことになりましたー!』
勇斗:『そういうことだから、よろしく』
美波の弾むような言葉に対して、勇斗の返信はあまりに短かった。
おめでたい報告なのに、どうしてか少しだけそっけなく感じて、私は画面を見つめたまま一瞬だけ瞬きをした。
けれど、すぐに新太から『グループ見た!? あいつらマジか!』と興奮気味のLINEが届き、私はその違和感を胸の奥に押しやって、スマホを握りしめた。
翌日の帰り道、夕焼けに染まる道を新太と並んで歩く。
「よかったな。あいつら絶対お似合いだよ」
新太の言葉に、私も「うん、よかった!」と笑顔で頷いた。
大好きな友達が結ばれた喜びと、隣にいる新太の優しい横顔。
この穏やかで愛おしい日々が、ずっと続いてほしい。
私は新太のぬくもりを隣に感じながら、心の底からそう願っていた。
放課後、美波に「あらたまって話があるから、今日の帰り、どこかで聞いてほしい」と真面目な顔で頼まれた。
いつも明るい美波がそんなトーンで話すなんて珍しい。
場所を私の家に移し、自室の床に座ると、美波はそわそわと膝を抱え込んだ。
「柚那……どうしよう。私、勇斗のこと好きかもしれない」
「えっ!? 本当に!?」
まさかの言葉に、私は思わず声を上げて身を乗り出した。
夏休み中も四人で楽しく過ごす中で、美波は勇斗を男の子として意識し始めていたらしい。
「いつから……!? でも、なんで『どうしよう』なの?」
美波は困ったように苦笑いをして、視線を落とした。
「だって勇斗、私の気持ちに全然気づいてないし……あいつ、あからさまに脈ナシっぽいんだよね」
美波の寂しそうな横顔に、胸がキュッとなる。
どうにかして応援してあげたい。私は純粋にそう思った。
「まだ分からないじゃん! 恋なんてこれからだよ!! 私、全力で応援するから!」
私の言葉に、美波は拳をぎゅっと握りしめて頷いた。
その夜、部屋でくつろいでいると、勇斗からLINEが届いた。
『いきなりごめん。美波のことで、聞いてもらいたいことがあって』
『柚那、美波から何か話聞いてたりする?』
『正直、めちゃくちゃ戸惑ってて……友達としてはすごく良い奴だし、傷つけるのも嫌でさ』
勇斗は本当に誠実で、優しい男の子だ。
真っ直ぐな美波の想いに、どう返事をしていいのか困っているんだろう。
私はすぐに返信を打った。
『うん、少しだけ聞いてるよ! まあ最終的に決めるのは勇斗だけど、あんまり深く考えすぎずに、一回流れに任せてみてもいいんじゃない?』
それから翌日のお昼休み。
お弁当を広げようとすると、美波が息を切らして駆け寄ってきた。
「柚那……! 私、勇斗に告白した……!」
「えっ!? 展開早すぎない!?」
美波は頬を真っ赤にして、幸せそうにはにかんだ。
「あのね、勇斗、最初は『まだ考えられない』って言ってたんだけど……」
「……え?」
「柚那が『流れに任せてみたら』って勇斗に言ったのが響いたみたいでね! 私、勇斗に『柚那もそう言ってるし、とりあえず付き合ってみようよ!』って、もう一度だけ食い下がったの!」
(……私の言葉が、勇斗の背中を押したの?)
自分の言葉で美波の恋が叶ったことは嬉しいはずなのに、なぜかほんの少しだけ、胸の奥がチクッとした気がした。
「よかったね、美波! おめでとう!」
私は心からの笑顔で、美波の肩をポンと叩いた。
その日の夜、グループLINEに通知が並んだ。
美波:『みんなに報告! 勇斗と付き合うことになりましたー!』
勇斗:『そういうことだから、よろしく』
美波の弾むような言葉に対して、勇斗の返信はあまりに短かった。
おめでたい報告なのに、どうしてか少しだけそっけなく感じて、私は画面を見つめたまま一瞬だけ瞬きをした。
けれど、すぐに新太から『グループ見た!? あいつらマジか!』と興奮気味のLINEが届き、私はその違和感を胸の奥に押しやって、スマホを握りしめた。
翌日の帰り道、夕焼けに染まる道を新太と並んで歩く。
「よかったな。あいつら絶対お似合いだよ」
新太の言葉に、私も「うん、よかった!」と笑顔で頷いた。
大好きな友達が結ばれた喜びと、隣にいる新太の優しい横顔。
この穏やかで愛おしい日々が、ずっと続いてほしい。
私は新太のぬくもりを隣に感じながら、心の底からそう願っていた。
