窓の外はすっかり暗くなって、遠くの街明かりがぼんやりと灯り始めている。時計の針が、私が帰らなくてはいけない時間を刻む音だけが、部屋の静けさを強調していた。
「そろそろ、支度をしないと」
互いに少し名残惜しそうに体を離すと、新太が枕元のライトを点けた。
ふと見ると、ベッドの中で新太の視線がじっと私の体をとらえていることに気づく。
「……もう、そんなに見ないで! 恥ずかしいってば」
私は顔を赤くして布団をたぐり寄せ、新太を軽く小突いた。彼は悪びれる様子もなく、「だって」と愛おしそうに笑ってから、ゆっくりと体を起こした。
私たちは無言のまま、それぞれ手近にあった服を手に取り、身支度を始めた。さっきまであんなに密着していたのに、着替えている今は、どこか少しだけ気恥ずかしい。
背を向けて着替えていると、背後から不意に、低く掠れた声で「……柚那」と名前を呼ばれた。
「……ん?」
呼びかけに応じるように振り返ると、新太は着替えを終えていて、ベッドに座ったまま――さっきよりもさらに熱を帯びた瞳で、私をじっと見つめていた。
彼は喉の奥から絞り出すように、ポツリとこぼす。
「……ほんとに、綺麗だな」
ストレートすぎる言葉に、頭の先まで一気に熱くなるのを感じる。さっきまで「見ないで」と言っていたはずなのに、今の彼の真っ直ぐな視線と言葉に、胸がぎゅっとなる。
「もう……っ、言わなくてもいいよ!」
慌てて顔を背けた私を、彼は満足そうに笑った。
ようやく支度を終えて部屋を出ると、夜の冷たい空気が肌に触れて、さっきまでの熱を少しだけ落ち着かせてくれる。
私たちはそのまま、二人で手を繋いで駅まで歩いた。
さっきのことがあって少しだけ小っ恥ずかしいけれど、それ以上に隣に新太がいることが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。駅までの道に吹く風が、火照った肌にひんやりと心地よかった。
二人で他愛もない話をしていたら、駅までの道のりはあっという間で、すぐに着いてしまった。
改札の前まで来ると、新太が立ち止まり、私の方を向いて少しだけニカっと笑う。
「じゃあ、また明日学校でな! 着いたら連絡して」
「うん! また明日ね!」
私はそう言って、小さく手を振った。
今日という特別な日の余韻を胸いっぱいに抱きしめて、私は改札を抜ける。
ホームへ向かう階段を上りながら、明日学校で会ったらどんな顔をしよう、とそんなことばかり考えていた。
大好きな人と過ごした一日の終わり。
世界は昨日までと同じはずなのに、私の目には何もかもが輝いて見えている。
私はスマホを取り出し、電車を待つ間に、新太へのLINEを打ち始めた。
「そろそろ、支度をしないと」
互いに少し名残惜しそうに体を離すと、新太が枕元のライトを点けた。
ふと見ると、ベッドの中で新太の視線がじっと私の体をとらえていることに気づく。
「……もう、そんなに見ないで! 恥ずかしいってば」
私は顔を赤くして布団をたぐり寄せ、新太を軽く小突いた。彼は悪びれる様子もなく、「だって」と愛おしそうに笑ってから、ゆっくりと体を起こした。
私たちは無言のまま、それぞれ手近にあった服を手に取り、身支度を始めた。さっきまであんなに密着していたのに、着替えている今は、どこか少しだけ気恥ずかしい。
背を向けて着替えていると、背後から不意に、低く掠れた声で「……柚那」と名前を呼ばれた。
「……ん?」
呼びかけに応じるように振り返ると、新太は着替えを終えていて、ベッドに座ったまま――さっきよりもさらに熱を帯びた瞳で、私をじっと見つめていた。
彼は喉の奥から絞り出すように、ポツリとこぼす。
「……ほんとに、綺麗だな」
ストレートすぎる言葉に、頭の先まで一気に熱くなるのを感じる。さっきまで「見ないで」と言っていたはずなのに、今の彼の真っ直ぐな視線と言葉に、胸がぎゅっとなる。
「もう……っ、言わなくてもいいよ!」
慌てて顔を背けた私を、彼は満足そうに笑った。
ようやく支度を終えて部屋を出ると、夜の冷たい空気が肌に触れて、さっきまでの熱を少しだけ落ち着かせてくれる。
私たちはそのまま、二人で手を繋いで駅まで歩いた。
さっきのことがあって少しだけ小っ恥ずかしいけれど、それ以上に隣に新太がいることが嬉しくて、自然と笑みがこぼれる。駅までの道に吹く風が、火照った肌にひんやりと心地よかった。
二人で他愛もない話をしていたら、駅までの道のりはあっという間で、すぐに着いてしまった。
改札の前まで来ると、新太が立ち止まり、私の方を向いて少しだけニカっと笑う。
「じゃあ、また明日学校でな! 着いたら連絡して」
「うん! また明日ね!」
私はそう言って、小さく手を振った。
今日という特別な日の余韻を胸いっぱいに抱きしめて、私は改札を抜ける。
ホームへ向かう階段を上りながら、明日学校で会ったらどんな顔をしよう、とそんなことばかり考えていた。
大好きな人と過ごした一日の終わり。
世界は昨日までと同じはずなのに、私の目には何もかもが輝いて見えている。
私はスマホを取り出し、電車を待つ間に、新太へのLINEを打ち始めた。
