「美味しいね」と笑い合いながら、二人で買ってきたケーキをつつく。
「俺、甘いのも結構いけるんだよな」
と、新太はチョコケーキを美味しそうに頬張っていた。
テレビの音と、私たちの他愛もない会話。
誰もいない家だということを忘れるくらい、いつも通りの楽しくて穏やかな時間だった。
でも、さっきから時々、新太の視線が少しだけ熱を帯びている気がして。
私はフォークを見つめたまま、上手く目を合わせられずにいた。
「ごちそうさま。……お皿、洗ってくるね」
空になったお皿を重ねて立ち上がろうとした私を、新太の大きな手がそっと引き留めた。
「……いいよ、あとで俺がやるから」
「でも……」
「今は、もう少し俺の傍にいて」
少しだけ低くなった新太の声に、ドクンと心臓が大きく跳ねた。
腕を引かれるまま、私はソファーに座り直す。
ふと会話が途切れると、家の中の静寂が急に耳に届いた。
時計の秒針が動く音だけが、やけに響いている。
夜まで誰も帰ってこない、二人きりの空間。その事実が、波のように押し寄せてきて私を包み込んだ。
「……柚那」
名前を呼ばれて顔を上げると、新太の真っ直ぐな瞳が私を捉えていた。
無邪気な少年の顔ではなくて、少しだけ大人びた、熱を持った男の人の目。
「ん……っ」
引き寄せられ、そっと唇が重なる。
最初は確かめ合うような優しいキスだったのに、次第にその角度が変わり、熱を帯びていく。
新太の腕が私の背中を包み込み、逃げ場をなくすように強く抱き寄せられた。
唇を離した新太が、熱い吐息をこぼしながら私の耳元で呟く。
「……柚那……いい? 嫌じゃない……?」
そんなふうに、私の気持ちを確かめるように聞いてくれる新太が愛おしい。
初めてのことだから、不安や少しの怖さはもちろんある。
でも、それ以上に、大好きな新太とこのままひとつになりたいという気持ちが、胸の中で大きく膨らんでいた。
「……うん。……新太がいい」
私がそう伝えると、新太は少しだけ安堵したように目元を緩めて、もう一度深く、私にキスをした。
――ここから先の時間は、夢の中みたいに曖昧で、甘くて、熱かった。
生々しい現実は遠のき、ただ新太の体温と、優しい匂いだけが私を包み込んでいる。
何度も私の名前を呼んで、壊れ物に触れるように大切に抱きしめてくれる新太。
少しの痛みも、彼が落とす優しいキスと「大丈夫?」「痛くない?」と気遣う言葉が溶かしてくれた。
(本当に、この人の特別になれたんだ……)
新太の広い背中に腕を回し、私はきつく目を閉じる。
肌と肌が触れ合う温もりの中で、私は確かな『愛されている』という実感に満たされていた。
しばらくして、静寂が戻った部屋の中で、新太がそっと私を抱きしめ直した。
耳元で聞こえる彼の鼓動が、今は誰よりも近くに感じられる。
「……柚那、ずっと俺のそばにいて」
新太の腕の中で、私は何も言わずにただ静かに頷いた。
この穏やかで熱い時間が、いつまでも続けばいい。それ以外のことは、何も考えたくなかった。
「俺、甘いのも結構いけるんだよな」
と、新太はチョコケーキを美味しそうに頬張っていた。
テレビの音と、私たちの他愛もない会話。
誰もいない家だということを忘れるくらい、いつも通りの楽しくて穏やかな時間だった。
でも、さっきから時々、新太の視線が少しだけ熱を帯びている気がして。
私はフォークを見つめたまま、上手く目を合わせられずにいた。
「ごちそうさま。……お皿、洗ってくるね」
空になったお皿を重ねて立ち上がろうとした私を、新太の大きな手がそっと引き留めた。
「……いいよ、あとで俺がやるから」
「でも……」
「今は、もう少し俺の傍にいて」
少しだけ低くなった新太の声に、ドクンと心臓が大きく跳ねた。
腕を引かれるまま、私はソファーに座り直す。
ふと会話が途切れると、家の中の静寂が急に耳に届いた。
時計の秒針が動く音だけが、やけに響いている。
夜まで誰も帰ってこない、二人きりの空間。その事実が、波のように押し寄せてきて私を包み込んだ。
「……柚那」
名前を呼ばれて顔を上げると、新太の真っ直ぐな瞳が私を捉えていた。
無邪気な少年の顔ではなくて、少しだけ大人びた、熱を持った男の人の目。
「ん……っ」
引き寄せられ、そっと唇が重なる。
最初は確かめ合うような優しいキスだったのに、次第にその角度が変わり、熱を帯びていく。
新太の腕が私の背中を包み込み、逃げ場をなくすように強く抱き寄せられた。
唇を離した新太が、熱い吐息をこぼしながら私の耳元で呟く。
「……柚那……いい? 嫌じゃない……?」
そんなふうに、私の気持ちを確かめるように聞いてくれる新太が愛おしい。
初めてのことだから、不安や少しの怖さはもちろんある。
でも、それ以上に、大好きな新太とこのままひとつになりたいという気持ちが、胸の中で大きく膨らんでいた。
「……うん。……新太がいい」
私がそう伝えると、新太は少しだけ安堵したように目元を緩めて、もう一度深く、私にキスをした。
――ここから先の時間は、夢の中みたいに曖昧で、甘くて、熱かった。
生々しい現実は遠のき、ただ新太の体温と、優しい匂いだけが私を包み込んでいる。
何度も私の名前を呼んで、壊れ物に触れるように大切に抱きしめてくれる新太。
少しの痛みも、彼が落とす優しいキスと「大丈夫?」「痛くない?」と気遣う言葉が溶かしてくれた。
(本当に、この人の特別になれたんだ……)
新太の広い背中に腕を回し、私はきつく目を閉じる。
肌と肌が触れ合う温もりの中で、私は確かな『愛されている』という実感に満たされていた。
しばらくして、静寂が戻った部屋の中で、新太がそっと私を抱きしめ直した。
耳元で聞こえる彼の鼓動が、今は誰よりも近くに感じられる。
「……柚那、ずっと俺のそばにいて」
新太の腕の中で、私は何も言わずにただ静かに頷いた。
この穏やかで熱い時間が、いつまでも続けばいい。それ以外のことは、何も考えたくなかった。
