新太の両親も起きてきて、空がだんだんと白み始めた。そろそろ日の出を迎える頃。
気づけば私たちの周りにいるキャンパーたちも、みんな一斉にカメラを構えてその瞬間を静かに待っている。
冷え切った静寂の中、ゆっくりと山頂から太陽が顔を出し始めた。
強烈な光が富士山の真上へとさしかかり、ぴったりと重なったその瞬間――。
それは、本当に大粒のダイヤモンドが眩しく輝き出したかのような、奇跡的な光景だった。
「息を呑むような美しさ」って、きっとこういうことなんだ。
ただただ圧倒されて、私は言葉を失っていた。視界のすべてが、黄金色のまばゆい光に包まれていく。
日の出が山頂に重なる時間はほんのわずかで、きらきらとした輝きはすぐに形を変えていってしまったけれど。
私の胸には、生涯消えないであろう感動がしっかりと焼き付いていた。
「……こんなに貴重な瞬間、連れてきてくれて本当にありがとう」
私が隣を向くと、新太は眩しそうに目を細めながら、愛おしそうに優しく微笑んだ。
「すごいきれいだったな! 柚那と一緒に見られて本当によかった。……また来年も、絶対に一緒に来ような」
「うん、来ようね」
新太と、そんな小さな約束を交わした。
ずっとずっと、この幸せが続いてほしい。心の底からそう願うくらい、最高の夏の思い出になった。
ーーーーー
楽しかった一泊二日のキャンプから無事に帰宅し、日常に戻ってから数日後のこと。
今日は新太と会う約束をしていた。
私たちにとって少しだけ特別な、付き合ってちょうど三ヶ月の記念日。
大袈裟なことはしないけれど、二人でケーキを買って、新太の家で小さくお祝いしようと決めていたのだ。
待ち合わせ場所に現れた新太は、私を見つけるといつものように嬉しそうに駆け寄ってきた。
ショッピングモールで一緒に雑貨を見たり、少し遅めのランチを食べたり。
記念日だからといって変に気負うこともなく、隣を歩く新太の歩幅はいつも通り優しくて心地よかった。
帰り道、新太の家の近くにあるケーキ屋さんに立ち寄る。
ショーケースに並んだ色とりどりのケーキを前に、「どれにする?」と二人で身を寄せ合って覗き込んだ。
「俺、このチョコのやつ」
「じゃあ私は、こっちのイチゴのタルトにする!」
他愛のないやり取りさえも、なんだかくすぐったくて愛おしい。
三ヶ月前、付き合い始めた頃は「本当にこのまま進んでいいのかな」と一人で悩んでいたのが嘘みたいだ。
新太の飾らない優しさにたくさん触れて、今の私の気持ちは、確かな『大好き』で溢れていた。
ケーキの箱を大事に提げた新太の隣を歩きながら、彼の家へと向かう。
「そういえば、今日親父たち親戚の集まりに出かけててさ。夜まで誰もいないんだ」
「あ、そうなんだ」
ふいに新太から告げられた言葉に普通に頷きながらも、私の心臓の奥がトクリと小さく跳ねた。
(夜まで、ずっと二人きり……)
ほんの少しだけよぎる考えに一瞬ドキッとしたけれど、隣を歩く新太はいつも通り無邪気な顔で笑っている。
見慣れた新太の家に着き、「どうぞ」と招き入れてくれる彼に続いて家の中に入った。
カチャリ、と背後で玄関のドアが閉まる。
「お邪魔します」
靴を脱いで上がった家の中は静まり返っていて、本当に誰もいないんだなと実感して、また少しだけ胸がソワソワした。
「さっそくケーキ食べよっか! カフェオレなら作れるから、俺、淹れてくるね」
「うん、手伝う!」
楽しそうに笑ってキッチンへ向かう新太の背中を追いかける。
二人きりの、特別で穏やかな時間が始まろうとしていた。
気づけば私たちの周りにいるキャンパーたちも、みんな一斉にカメラを構えてその瞬間を静かに待っている。
冷え切った静寂の中、ゆっくりと山頂から太陽が顔を出し始めた。
強烈な光が富士山の真上へとさしかかり、ぴったりと重なったその瞬間――。
それは、本当に大粒のダイヤモンドが眩しく輝き出したかのような、奇跡的な光景だった。
「息を呑むような美しさ」って、きっとこういうことなんだ。
ただただ圧倒されて、私は言葉を失っていた。視界のすべてが、黄金色のまばゆい光に包まれていく。
日の出が山頂に重なる時間はほんのわずかで、きらきらとした輝きはすぐに形を変えていってしまったけれど。
私の胸には、生涯消えないであろう感動がしっかりと焼き付いていた。
「……こんなに貴重な瞬間、連れてきてくれて本当にありがとう」
私が隣を向くと、新太は眩しそうに目を細めながら、愛おしそうに優しく微笑んだ。
「すごいきれいだったな! 柚那と一緒に見られて本当によかった。……また来年も、絶対に一緒に来ような」
「うん、来ようね」
新太と、そんな小さな約束を交わした。
ずっとずっと、この幸せが続いてほしい。心の底からそう願うくらい、最高の夏の思い出になった。
ーーーーー
楽しかった一泊二日のキャンプから無事に帰宅し、日常に戻ってから数日後のこと。
今日は新太と会う約束をしていた。
私たちにとって少しだけ特別な、付き合ってちょうど三ヶ月の記念日。
大袈裟なことはしないけれど、二人でケーキを買って、新太の家で小さくお祝いしようと決めていたのだ。
待ち合わせ場所に現れた新太は、私を見つけるといつものように嬉しそうに駆け寄ってきた。
ショッピングモールで一緒に雑貨を見たり、少し遅めのランチを食べたり。
記念日だからといって変に気負うこともなく、隣を歩く新太の歩幅はいつも通り優しくて心地よかった。
帰り道、新太の家の近くにあるケーキ屋さんに立ち寄る。
ショーケースに並んだ色とりどりのケーキを前に、「どれにする?」と二人で身を寄せ合って覗き込んだ。
「俺、このチョコのやつ」
「じゃあ私は、こっちのイチゴのタルトにする!」
他愛のないやり取りさえも、なんだかくすぐったくて愛おしい。
三ヶ月前、付き合い始めた頃は「本当にこのまま進んでいいのかな」と一人で悩んでいたのが嘘みたいだ。
新太の飾らない優しさにたくさん触れて、今の私の気持ちは、確かな『大好き』で溢れていた。
ケーキの箱を大事に提げた新太の隣を歩きながら、彼の家へと向かう。
「そういえば、今日親父たち親戚の集まりに出かけててさ。夜まで誰もいないんだ」
「あ、そうなんだ」
ふいに新太から告げられた言葉に普通に頷きながらも、私の心臓の奥がトクリと小さく跳ねた。
(夜まで、ずっと二人きり……)
ほんの少しだけよぎる考えに一瞬ドキッとしたけれど、隣を歩く新太はいつも通り無邪気な顔で笑っている。
見慣れた新太の家に着き、「どうぞ」と招き入れてくれる彼に続いて家の中に入った。
カチャリ、と背後で玄関のドアが閉まる。
「お邪魔します」
靴を脱いで上がった家の中は静まり返っていて、本当に誰もいないんだなと実感して、また少しだけ胸がソワソワした。
「さっそくケーキ食べよっか! カフェオレなら作れるから、俺、淹れてくるね」
「うん、手伝う!」
楽しそうに笑ってキッチンへ向かう新太の背中を追いかける。
二人きりの、特別で穏やかな時間が始まろうとしていた。
