君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

怒涛の勢いで過ぎ去っていった体育祭と、初めての学園祭。

高校1年生の私たちは、とにかく先輩たちの指示についていくだけで精一杯で、気づけば大きなイベントはすべて終わり、季節はすっかり秋に変わっていた。

すっかり落ち着きを取り戻した、ある日の放課後。
話があると言われて、私たちはいつものように並んで歩いていた。

「俺、サッカー部に入部しようと思うんだ」

「えっ、サッカー部?」

新太の突然の言葉に、私は少し驚いて隣を見上げた。

新太は少し照れくさそうに首の後ろを掻きながら、言葉を続ける。

「中学3年間ずっとサッカー部だったんだけどさ、引退間近のときにちょっと腰を痛めちゃってさ。高校でまたサッカーができるのかどうか、ずっと一人で悩んでたんだ。でも……やっぱり、もう一回やってみようと思う」

少し視線を落とした新太の横顔は、いつになく真剣だった。

「途中入部だし、周りに追いつくのは結構不安だけどさ。このまま何もやらないで後悔するのだけは嫌だから」

学校の噂では「遊んでいる」なんて言われていた新太。
だけど、自分の弱さや不安とちゃんと向き合って、真っ直ぐ前を見つめている今の彼は――なんだか、すごく格好よく見えた。

「いいじゃん!! 腰のことはちょっと心配だけど……やってみなよ! 私、全力で応援する!」

私が心の底からエールを送ると、新太はハッとしたあと、嬉しそうに目を細めて笑った。

「ありがとな。……あ、それでさ、部活が始まると今より少し忙しくなるだろ? だから、部活が本格的に始まる前の土日のどこかで、みんなでキャンプに行こうかって話になってさ。……柚那も、一緒に行かないか?」

「えっ!? 私も一緒に行っていいの?」

「うん。俺の家、普段は友達とか4つ上の兄貴とその彼女とかも呼んで、みんなで大人数で行くことが多いんだけどさ。今回はどうしてもみんなの予定が合わなくて。結局、俺の親と、俺たちの4人だけで行こうかってなったんだ。母さんたちも『彼女さんも一緒なら、もっと楽しいね』って言ってくれてさ」

「嬉しい……! 私の家もね、小さい頃はよく家族でキャンプに行ってたんだよね。なんか懐かしいな。親にも聞いてみるね!」

新太が私のことを「大切な彼女」として、ご両親に紹介しようとしてくれている。その事実が、飛び上がるほど嬉しかった。
けれど、家に帰って自分の部屋に入った瞬間、急に凄まじい緊張が襲ってきた。

(新太のご両親と、新太と、私の4人だけ……!)

お兄さんカップルや友達がいれば、まだ大人数に紛れて少しは緊張が和らいだかもしれない。
だけど、まさかの初対面のご両親と、4人きりでのキャンプ。しかも、一泊二日のお泊まりだ。

想像しただけで、心臓が口から飛び出そうなくらいバクバクと暴れ出す。

後日、恐る恐るリビングで母親に相談してみると、

「新太君のご両親が一緒なら安心だし、行ってきなさい。失礼のないようにね」

と、あっさりと了承を得ることができた。

親の公認も貰えて、もう後戻りはできない。

新太の家族の中に招待された嬉しさと、初対面への凄まじい緊張を胸に、私はカレンダーの週末の予定に小さく印をつけた。