新太と付き合うことになって、私は美波に、新太は勇斗に、それぞれ報告をすることになった。
私は家に帰ってすぐ、ベッドに転がりながらスマホを開いた。
『美波ー! LINEでごめん。わたしたち、付き合うことになったよ!! いろいろ話聞いてくれてありがとね』
送信してすぐ、いつも通り美波から返信が届く。
『おつかれー! うん!うん!よかったね!おめでとう!!』
『また何かあったらいつでも話聞くからね!!』
いつもと変わらない、明るくて優しい美波の文面。
だけど、あの部活の前に美波が言った「勇斗には話してないの?」という言葉が、なぜだか再び脳裏をよぎった。
ーーーーーーーーーー
それから数日後。
私は付き合って初めて、新太の家に遊びに行くことになった。
前にみんなで王様ゲームをした時はあんなに賑やかだった部屋なのに、二人きりでお邪魔するとなると、全く違う場所のように思えてしまう。
ほんのり漂う新太の香りに、私の心臓は朝からずっとうるさいくらいに跳ねたままだ。
並んで座って、ゲームをしたり、他愛もない話をしてひとしきり笑い合う。
けれど、ふと会話が途切れた瞬間、新太の手が私の頬にそっと触れた。
「柚那……」
名前を呼ぶ新太の、いつもより少し低い声。
じっと私を見つめる真剣な目に、あの日公園で告白されたときの記憶が蘇る。
ゆっくりと顔が近づいてきて、私たちは自然に唇を重ねた。
優しくて、あったかいキス。
新太の体温がダイレクトに伝わってきて、胸の奥がぎゅっと切なくなる。
けれど、新太の腕にそっと抱きしめられ、そのままベッドの方へ引き寄せられそうになった瞬間――。
(……女たらし)
(経験豊富で、かなり遊んでるらしいよ)
脳裏に、あの王様ゲームの時に美波が言った言葉や、学校での新太の噂が突然フラッシュバックした。
新太を信じたい気持ちはある。
でも、もし彼にとってこれが「いつもの慣れた流れ」だとしたら? 私だけが本気になって、いいように遊ばれてしまったら――。
急に怖くなって、私は思わずギュッと体を硬くして、新太の胸を小さく押し返してしまった。
「……柚那? 嫌だった?」
新太がすぐに動きを止め、心配そうに私の顔を覗き込む。
その瞳には、からかうような色は一切なくて、ただ純粋に私を気遣う優しさだけがあった。
私はきゅっと唇を噛み締め、意を決して新太の服の裾を握りしめた。
「……嫌じゃない、けど。私、その……こういうのは初めてだから、怖くて……。だから、私の心の準備ができるまで、待ってほしい」
恥ずかしさで顔がはち切れそうになりながら、消え入りそうな声で伝える。
新太みたいな人が、こんな私のワガママを許してくれるだろうか。
一瞬の沈黙のあと、新太はハッとしたように目を見開いた。そして、すぐに困ったように、でも愛おしそうに眉を下げて笑った。
「そっか。……ごめん、怖がらせて。分かった、柚那のペースに合わせる。柚那が本当にいいよって言ってくれるまで、俺、ちゃんと待つから」
そう言って、新太は私の頭を優しくぽんぽんと撫でてくれた。
その手の温もりに、私の頑なだった不安は、すうっと溶けていくようだった。
この人なら、ちゃんと信じても大丈夫かもしれない。
新太への「好きになれるかもしれない」という予感が、少しずつ確かなものへ近づいていくのを感じていた。
私は家に帰ってすぐ、ベッドに転がりながらスマホを開いた。
『美波ー! LINEでごめん。わたしたち、付き合うことになったよ!! いろいろ話聞いてくれてありがとね』
送信してすぐ、いつも通り美波から返信が届く。
『おつかれー! うん!うん!よかったね!おめでとう!!』
『また何かあったらいつでも話聞くからね!!』
いつもと変わらない、明るくて優しい美波の文面。
だけど、あの部活の前に美波が言った「勇斗には話してないの?」という言葉が、なぜだか再び脳裏をよぎった。
ーーーーーーーーーー
それから数日後。
私は付き合って初めて、新太の家に遊びに行くことになった。
前にみんなで王様ゲームをした時はあんなに賑やかだった部屋なのに、二人きりでお邪魔するとなると、全く違う場所のように思えてしまう。
ほんのり漂う新太の香りに、私の心臓は朝からずっとうるさいくらいに跳ねたままだ。
並んで座って、ゲームをしたり、他愛もない話をしてひとしきり笑い合う。
けれど、ふと会話が途切れた瞬間、新太の手が私の頬にそっと触れた。
「柚那……」
名前を呼ぶ新太の、いつもより少し低い声。
じっと私を見つめる真剣な目に、あの日公園で告白されたときの記憶が蘇る。
ゆっくりと顔が近づいてきて、私たちは自然に唇を重ねた。
優しくて、あったかいキス。
新太の体温がダイレクトに伝わってきて、胸の奥がぎゅっと切なくなる。
けれど、新太の腕にそっと抱きしめられ、そのままベッドの方へ引き寄せられそうになった瞬間――。
(……女たらし)
(経験豊富で、かなり遊んでるらしいよ)
脳裏に、あの王様ゲームの時に美波が言った言葉や、学校での新太の噂が突然フラッシュバックした。
新太を信じたい気持ちはある。
でも、もし彼にとってこれが「いつもの慣れた流れ」だとしたら? 私だけが本気になって、いいように遊ばれてしまったら――。
急に怖くなって、私は思わずギュッと体を硬くして、新太の胸を小さく押し返してしまった。
「……柚那? 嫌だった?」
新太がすぐに動きを止め、心配そうに私の顔を覗き込む。
その瞳には、からかうような色は一切なくて、ただ純粋に私を気遣う優しさだけがあった。
私はきゅっと唇を噛み締め、意を決して新太の服の裾を握りしめた。
「……嫌じゃない、けど。私、その……こういうのは初めてだから、怖くて……。だから、私の心の準備ができるまで、待ってほしい」
恥ずかしさで顔がはち切れそうになりながら、消え入りそうな声で伝える。
新太みたいな人が、こんな私のワガママを許してくれるだろうか。
一瞬の沈黙のあと、新太はハッとしたように目を見開いた。そして、すぐに困ったように、でも愛おしそうに眉を下げて笑った。
「そっか。……ごめん、怖がらせて。分かった、柚那のペースに合わせる。柚那が本当にいいよって言ってくれるまで、俺、ちゃんと待つから」
そう言って、新太は私の頭を優しくぽんぽんと撫でてくれた。
その手の温もりに、私の頑なだった不安は、すうっと溶けていくようだった。
この人なら、ちゃんと信じても大丈夫かもしれない。
新太への「好きになれるかもしれない」という予感が、少しずつ確かなものへ近づいていくのを感じていた。
