高校生活にも少しずつ慣れてきた頃、私は雅人との関係に、人知れず頭を悩ませていた。
LINEを送っても、既読がつかない日が増えていたのだ。
入学直後に数回会えたきり、顔を合わせる日さえなくなっていた。
雅人は、入学前から言っていた。
『入部したらどうしても忙しくなって、寂しい思いをさせるかも。そのときはごめん』
だから私は、連絡が来ないのも、会えないのも、全部部活のせいなんだと言い聞かせていた。
雅人が私を大切にしてくれていることは、誰よりも私が知っているはずだから。
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そんなある日、久しぶりに中学時代の友人、由紀に会った。
恋愛のことも、それ以外のことも、何でも相談してきた大切な友達だ。
最初は他愛のない近況報告だった。けれど由紀が、ふと口ごもって視線を落とす。
「あのね……今日は、柚那に話しておかなきゃいけないことがあって」
低いトーンに、心臓が嫌な音を立てた。
「最近……雅人とどう? ちゃんと会えてる?」
「実はちょうど今日、聞いてもらおうと思ってたの。LINEがなかなか既読にならなくて、部活が忙しいのかなって……」
そう言って顔を上げると、いつも「うん、うん」と頷いてくれる由紀が、困ったような、苦しそうな顔をしていた。
「……柚那、落ち着いて聞いてね」
由紀の高校の同級生が、友達とカラオケに行ったときのこと。
声をかけてきた男子グループと一緒に盛り上がり、みんなでプリクラを撮ったという。
後日、その同級生が見せてくれた一枚。
そこに写っていたのは――見間違えるはずのない、よく知っている男の子の顔。
雅人だった。
しかも彼は、グループにいた女の子の一人と、親しげに寄り添っていた。今は付き合っているらしい、とも。
「……っていう話を聞いちゃって。柚那……大丈夫? ほんとなのかな……」
由紀の声が、遠くで響いているようだった。
(え……?)
頭が真っ白になって、言葉の意味を理解するのに時間がかかる。雅人が、私じゃない女の子と? そんなの、ありえない。
「そう、なんだ。教えてくれてありがとう。一度、雅人とちゃんと話してみるね」
必死に顔の筋肉を動かして、いつものように笑ってみせた。由紀の前でだけは、絶対に泣きたくなかったから。
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由紀と別れて一人になった瞬間、張りつめていた糸が切れた。
夕暮れの帰り道、涙が溢れて止まらない。
出会いなんてないと思っていた工業高校。部活が忙しいだけだと、あんなに信じていたのに。
どうして? という言葉が、頭の中で何度もループする。
夜、自分の部屋でスマホを握りしめた。
早く、雅人に聞かなきゃ。
けれど――。
(もし、本当に浮気していたら……?)
その考えが頭をよぎるたび、指が動かなくなる。
それでも、震える指で短く送った。
『今、忙しいかな? 連絡待ってます』
その夜、スマホが震えることは、なかった。
