『美波ー、話聞いてほしー』
すぐに、画面の向こうの美波からテンポよく返信が届く。
『お、どうした?どうした?』
『あれ?今日って新太と2人で出かける日だったよね? どうだった?』
『いろいろあった……とにかく話したい!!』
『わかった!わかった!じゃあ明日、部活のあとにじっくり聞くよ!』
『とりあえず今日は何も考えずに、もう寝な!そうしな!』
美波らしいテンションの文面に、画面を見つめながら思わず小さく吹き出してしまう。
少しだけ強張っていた心が、ふっと軽くなった。
今日はなんだか、頭も体もすごく疲れたな……。
私は美波に言われた通り、スマホを枕元に置いて、今日はもう寝ることにした。
ーーーーーーーーーー
次の日。
午前中は部活があり、私は朝から学校へと向かった。
部活が始まる少し前、部室の近くで偶然、勇斗に会った。
「おす」
いつも通り短く挨拶してくれた勇斗に、私はどこかぎこちなく「おはよう」と返す。
昨日、新太に告白されたこと。
……なぜだか、勇斗にだけは話さなかった。というか、話せなかった。
自分のなかの、このモヤモヤとした引っかかりの正体は分からないまま、私は部活に打ち込んだ。
お昼に部活が終わると、私は美波と2人で約束通りファミレスに向かった。
冷房の効いた店内で席に座り、注文を済ませると、美波が身を乗り出してきた。
「それで? 昨日は一体、何があったんですか?」
ニヤニヤする美波に促されて、私は昨日の新太との出来事を、ポツリポツリと最初から話し始めた。
映画のあとに公園に行ったこと。
そこで好きだと、付き合ってほしいと言われたこと。
一通り聞き終えた美波は、
「んー、なるほどねぇ……」
と腕を組んだ。
「っていうかさ、映画に誘われたときに初めて新太の気持ちに気づいたの? それ以前に、あいつ分かりやすいくらいそういう素振り何回か見せてた気がするんだけど」
美波がおかしそうに笑う。
「……うーん、まあ、薄々はね」
私は正直に答えた。
「でも、新太みたいな人が、私なんかを本気で相手にするはずがないって思ってたから。全部、ただの冗談なんだって、自分に言い聞かせてたんだよね」
私が少し俯きながら打ち明けると、美波は
「もう、柚那は自分のこと低く見積もりすぎなんだよ」
と少し呆れたように、でも優しく笑った。
「で、1日経ってみて、何か考えは変わった?」
美波の問いかけに、私は首を横に振る。
「あまり変わってない……っていうか、自分でもよく分からないんだよね。自分がどうしたいのか、さっぱりで……」
正直な気持ちを吐き出すと、美波はグラスのコーラを一口飲んで、真面目な顔で私を見た。
「そうかー。……新太のことは、嫌いじゃないんだよね?」
「うん、嫌いじゃない」
「告白されて、少しは嬉しかった?」
「うん、それは嬉しかった」
「だったらさ、私の考えだけど……」
美波は優しく微笑みながら、言葉を繋いだ。
「試しに付き合ってみてもいいんじゃない? 最初から大恋愛じゃなくても、付き合ってみてからだんだん好きになっていく恋愛だってあるよ。新太なら全く知らない人じゃないしさ、優しいし」
「うーん……」
「まあ、最後に決めるのは柚那だけどね!」
それからも、2人でポテトをつまみながら色々な話をした。
気づけば窓の外の景色が変わるくらいの時間が経っていて、ファミレスを出た帰り際、美波が私の肩をぽんと叩いた。
「とにかく、夏休みはまだあるんだしさ! 焦ってすぐに答えを出す必要もないよ。何かあったらまたいつでも話聞くから! じゃあ、また部活でね〜」
「うん、ありがとう」
手を振って帰っていく美波の背中を見送りながら、私は小さく息を吐いた。
付き合ってみてから、好きになる……か。
新太のことは、友達として本当に大好きだ。
だけど、それが『付き合う』に繋がるのかは、まだ分からない。
美波の言う通り、もう少し時間をかけて、じっくり悩んでみよう。
私は自転車のペダルを漕ぎ出しながら、そう心に決めた。
すぐに、画面の向こうの美波からテンポよく返信が届く。
『お、どうした?どうした?』
『あれ?今日って新太と2人で出かける日だったよね? どうだった?』
『いろいろあった……とにかく話したい!!』
『わかった!わかった!じゃあ明日、部活のあとにじっくり聞くよ!』
『とりあえず今日は何も考えずに、もう寝な!そうしな!』
美波らしいテンションの文面に、画面を見つめながら思わず小さく吹き出してしまう。
少しだけ強張っていた心が、ふっと軽くなった。
今日はなんだか、頭も体もすごく疲れたな……。
私は美波に言われた通り、スマホを枕元に置いて、今日はもう寝ることにした。
ーーーーーーーーーー
次の日。
午前中は部活があり、私は朝から学校へと向かった。
部活が始まる少し前、部室の近くで偶然、勇斗に会った。
「おす」
いつも通り短く挨拶してくれた勇斗に、私はどこかぎこちなく「おはよう」と返す。
昨日、新太に告白されたこと。
……なぜだか、勇斗にだけは話さなかった。というか、話せなかった。
自分のなかの、このモヤモヤとした引っかかりの正体は分からないまま、私は部活に打ち込んだ。
お昼に部活が終わると、私は美波と2人で約束通りファミレスに向かった。
冷房の効いた店内で席に座り、注文を済ませると、美波が身を乗り出してきた。
「それで? 昨日は一体、何があったんですか?」
ニヤニヤする美波に促されて、私は昨日の新太との出来事を、ポツリポツリと最初から話し始めた。
映画のあとに公園に行ったこと。
そこで好きだと、付き合ってほしいと言われたこと。
一通り聞き終えた美波は、
「んー、なるほどねぇ……」
と腕を組んだ。
「っていうかさ、映画に誘われたときに初めて新太の気持ちに気づいたの? それ以前に、あいつ分かりやすいくらいそういう素振り何回か見せてた気がするんだけど」
美波がおかしそうに笑う。
「……うーん、まあ、薄々はね」
私は正直に答えた。
「でも、新太みたいな人が、私なんかを本気で相手にするはずがないって思ってたから。全部、ただの冗談なんだって、自分に言い聞かせてたんだよね」
私が少し俯きながら打ち明けると、美波は
「もう、柚那は自分のこと低く見積もりすぎなんだよ」
と少し呆れたように、でも優しく笑った。
「で、1日経ってみて、何か考えは変わった?」
美波の問いかけに、私は首を横に振る。
「あまり変わってない……っていうか、自分でもよく分からないんだよね。自分がどうしたいのか、さっぱりで……」
正直な気持ちを吐き出すと、美波はグラスのコーラを一口飲んで、真面目な顔で私を見た。
「そうかー。……新太のことは、嫌いじゃないんだよね?」
「うん、嫌いじゃない」
「告白されて、少しは嬉しかった?」
「うん、それは嬉しかった」
「だったらさ、私の考えだけど……」
美波は優しく微笑みながら、言葉を繋いだ。
「試しに付き合ってみてもいいんじゃない? 最初から大恋愛じゃなくても、付き合ってみてからだんだん好きになっていく恋愛だってあるよ。新太なら全く知らない人じゃないしさ、優しいし」
「うーん……」
「まあ、最後に決めるのは柚那だけどね!」
それからも、2人でポテトをつまみながら色々な話をした。
気づけば窓の外の景色が変わるくらいの時間が経っていて、ファミレスを出た帰り際、美波が私の肩をぽんと叩いた。
「とにかく、夏休みはまだあるんだしさ! 焦ってすぐに答えを出す必要もないよ。何かあったらまたいつでも話聞くから! じゃあ、また部活でね〜」
「うん、ありがとう」
手を振って帰っていく美波の背中を見送りながら、私は小さく息を吐いた。
付き合ってみてから、好きになる……か。
新太のことは、友達として本当に大好きだ。
だけど、それが『付き合う』に繋がるのかは、まだ分からない。
美波の言う通り、もう少し時間をかけて、じっくり悩んでみよう。
私は自転車のペダルを漕ぎ出しながら、そう心に決めた。
