君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~

「今日はありがとな」

新太が意を決したように、私をまっすぐ見つめた。

「あのさ。登校日に柚那から『元カレとはもう終わり』って聞いてから、伝えようってずっと決めてたんだ」

「……柚那が好きなんだ。俺と付き合ってほしい」

(……え?)

頭のなかが一瞬で真っ白になる。

新太は視線を逸らさず、熱を帯びた声で言葉を繋いだ。

「王様ゲームで勇斗とキスしたとき、正直見てられなかった。あの時から自分の気持ちに気づいてたし……この前ショッピングモールで、俺の幼馴染が柚那に連絡先聞いてただろ? あれを見てから、焦りでどうにかなりそうで」

「俺なんかじゃ自信ないけど……どうしても、他の奴に渡したくないんだ。……俺のこと、どう思ってる?」

「……どう思ってるか、か……」

心臓がうるさく鳴る。

「急でうまく言えないけど……。一緒にいて楽しいし、そう言われてすごく嬉しいよ」

「でも……映画に誘われたときにはじめて新太を男子として意識したくらいだから、すぐには返事できない。少し、考えさせてもらえる…かな……?」

新太は一瞬きょとんとしてから、ふうっと大きく息を吐いた。

「……そっか。待つよ。柚那が納得できるまで、いくらでも待つ」

「うん。ちゃんと伝えるね」

私の言葉を聞いた瞬間、新太は張り詰めていた糸が切れたように、ガクッと肩の力を抜いた。

「あ゙ー! とりあえず今すぐ振られなくてよかったー!」

新太が頭をくしゃくしゃと掻きながら、いつもの調子で叫ぶ。

「正直、自信はなかった。柚那に釣り合うかとか考えたら怖くて……。だから、心臓飛び出るかと思ったよ」

「だからさ、考えてる間も今まで通りにしてな! 気まずいのナシ!」

「……がんばる」

「がんばるって何だよ!」

新太が吹き出したことで、張り詰めていた空気が一気に和らいだ。

「……あ、もう遅いな。駅まで送るよ」

公園を出て、駅までの帰り道。

一緒に改札を通り、電車の揺れに身を任せながらも、私はまだ夢のなかにいるような心地だった。

やがて乗り換えの駅に着き、改札の手前で新太が振り返る。

「じゃあ。……またLINEする」

それだけを言い残して、新太は少し照れくさそうに反対側のホームへと歩いていった。

部屋に入り、ベッドに腰掛ける。

新太の言葉をひとつひとつ思い出そうとするけれど、あまりに急なことすぎて頭がボーッとしてしまう。

考えるよりも先に、私の指はスマホを操作していた。

気づいたときには、美波にLINEを送っていた。