蝉の声が響く、夏休みの登校日。
久しぶりに学校でいつもの4人が揃い、廊下の窓際で他愛もない立ち話をしているとき。
私は小さく息を吸い込んで、みんなの顔を順番に見回した。
先日、美波には話したけれど、改めて勇斗や新太の前で言葉にするのは少しだけ勇気がいる。
けれど、けじめとしてちゃんと伝えたかった。
「あのさ、この前の元カレの話なんだけど……」
私の言葉に、3人の視線がすっとこちらに集まる。
少しだけ緊張しながら、私は言葉を続けた。
「ちゃんと電話で、もうやり直せないって断ったよ。連絡先も消したんだ」
言い終えると、隣に立つ美波が私の肩をぽんと叩き、安心させるように小さく微笑んだ。
勇斗も、いつもの穏やかな表情を浮かべて、安心したように小さく息をついた。
「そっか。……よかった」
その優しい声にホッとしていると、隣から「……ふーん」と、静かな声が聞こえた。
新太だった。
少し前まであからさまに不機嫌そうにしていた彼は、今は柔らかい顔をしていた。
「まぁ、それが一番いいよ。お疲れさん」
私とまっすぐに目を合わせながらそう言った新太の声は、心底ホッとしているような、なんだかとても優しいトーンだった。
ーーーーーーーーーーー
放課後。
私は部活に向かうために校舎の廊下を歩いていた。
階段を降りたところで、「あ、柚那!」と声をかけられる。振り返ると、違うクラスの美波がちょうどやってきたところだった。
「美波、お疲れ。一緒に行こ」
「うん! ……あ、新太だ。おーい、新太!」
校舎を出て部活の場所へと向かう途中、美波が視線を向けた先には、駐輪場から自転車を押して校門の方へと歩いていく新太の姿があった。
帰宅部である新太は、これから真っ直ぐ家に帰るのだろう。
美波の声に気づいて振り返った新太は、私たちを見つけると「おう、お疲れ」と小さく手を挙げた。
そのまままた自転車を押して歩き出そうとした、その間際だった。
「じゃあ、またな、柚那」
新太がふと足を止め、いつもより少しだけ真剣な目で、じっと私を見つめてきた。
「うん、またね」
名前を呼ぶ声がいつもより少しだけ優しくて、私は不思議に思いながらも手を振り返した。
新太は満足したように小さく笑うと、今度こそ自転車に跨って校門の方へと走っていった。
雅人の件が完全に解決して、私の胸のうちは驚くほどすっきりと晴れ渡っていた。
残りの夏休みも、思いきり楽しもう。
そんなことを思いながら、私は美波と一緒に再び歩き出した。
久しぶりに学校でいつもの4人が揃い、廊下の窓際で他愛もない立ち話をしているとき。
私は小さく息を吸い込んで、みんなの顔を順番に見回した。
先日、美波には話したけれど、改めて勇斗や新太の前で言葉にするのは少しだけ勇気がいる。
けれど、けじめとしてちゃんと伝えたかった。
「あのさ、この前の元カレの話なんだけど……」
私の言葉に、3人の視線がすっとこちらに集まる。
少しだけ緊張しながら、私は言葉を続けた。
「ちゃんと電話で、もうやり直せないって断ったよ。連絡先も消したんだ」
言い終えると、隣に立つ美波が私の肩をぽんと叩き、安心させるように小さく微笑んだ。
勇斗も、いつもの穏やかな表情を浮かべて、安心したように小さく息をついた。
「そっか。……よかった」
その優しい声にホッとしていると、隣から「……ふーん」と、静かな声が聞こえた。
新太だった。
少し前まであからさまに不機嫌そうにしていた彼は、今は柔らかい顔をしていた。
「まぁ、それが一番いいよ。お疲れさん」
私とまっすぐに目を合わせながらそう言った新太の声は、心底ホッとしているような、なんだかとても優しいトーンだった。
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放課後。
私は部活に向かうために校舎の廊下を歩いていた。
階段を降りたところで、「あ、柚那!」と声をかけられる。振り返ると、違うクラスの美波がちょうどやってきたところだった。
「美波、お疲れ。一緒に行こ」
「うん! ……あ、新太だ。おーい、新太!」
校舎を出て部活の場所へと向かう途中、美波が視線を向けた先には、駐輪場から自転車を押して校門の方へと歩いていく新太の姿があった。
帰宅部である新太は、これから真っ直ぐ家に帰るのだろう。
美波の声に気づいて振り返った新太は、私たちを見つけると「おう、お疲れ」と小さく手を挙げた。
そのまままた自転車を押して歩き出そうとした、その間際だった。
「じゃあ、またな、柚那」
新太がふと足を止め、いつもより少しだけ真剣な目で、じっと私を見つめてきた。
「うん、またね」
名前を呼ぶ声がいつもより少しだけ優しくて、私は不思議に思いながらも手を振り返した。
新太は満足したように小さく笑うと、今度こそ自転車に跨って校門の方へと走っていった。
雅人の件が完全に解決して、私の胸のうちは驚くほどすっきりと晴れ渡っていた。
残りの夏休みも、思いきり楽しもう。
そんなことを思いながら、私は美波と一緒に再び歩き出した。
