それから、楽しみにしていた夏休みに入った。
ある日の午後。
私は美波と一緒にショッピングモールに出かけていた。
冷房の効いた館内を歩き回り、ウィンドウショッピングを楽しむ。
カフェで一息ついたとき、私は雅人との関係がようやく終わったことを美波に報告した。
話を聞いた彼女は「そっか」と優しく頷いてくれて、おかげで私の胸のつかえもようやく取れた気がした。
ひと通り買い物を終えて、
「じゃあ、また部活でね!」
と美波と解散する。
一人になって、私もそのまま出口に向かって歩いていた、そのときだった。
「……あれ、柚那?」
後ろから聞き慣れた声がして振り返ると、そこには新太と、見知らぬ男の子が立っていた。
「新太! なんでここにいるの?」
「いや、こいつとちょっと用事あってさ。お前、今帰り?」
新太の地元の幼馴染だというその男の子は、人懐っこい笑顔で私を見ると、
「へえ、新太の学校の友達? めっちゃ可愛いね! よかったらLINE交換しようよ。今度みんなで遊ぼう」
と、爽やかにスマホを差し出してきた。
突然のことに、私はどう対応していいか分からず、困ってしまう。
断り文句が見つからなくて、
「えっ、あ、えっと……」
と戸惑って一歩身を引いた、その瞬間だった。
「おい、ふざけんな。お前に教えるわけねーだろ」
新太が、幼馴染の男の子と私の間に割って入るようにして、一歩前に立った。
いつものようにふざけた口調で言っているけれど、私を振り返った新太の顔は、驚くほど真剣だった。
そのまっすぐな視線に、胸がどきっと跳ねる。
「ケチだなー、いいじゃん別に!」
「ダメ。ほら、行くぞ」
新太は幼馴染の肩を少し乱暴に押すようにして、さっさと歩き出そうとする。
強引に引き剥がされた幼馴染が不満そうに声を上げるのをよそに、新太は私の方をちらりと見た。
「じゃあな、またLINEするわ」
新太はそう短く言い残すと、幼馴染の肩を組んだまま、人混みの中へと消えていった。
別れ際、その男の子が「えー、なんだよ新太のケチ!またねー!」とこちらに手を振っている声が、ガヤガヤとした雑踏の音の中に小さく溶けていく。
静かになったモールの中で、私はなんとなくその場に立ち尽くす。
いつもおちゃらけているのに、さっきの新太はどこか違って見えた。
新太のあの、冗談めかした言葉の裏にあった真剣な目つきが、いつまでもトクンと不自然に心に残っていた。
ある日の午後。
私は美波と一緒にショッピングモールに出かけていた。
冷房の効いた館内を歩き回り、ウィンドウショッピングを楽しむ。
カフェで一息ついたとき、私は雅人との関係がようやく終わったことを美波に報告した。
話を聞いた彼女は「そっか」と優しく頷いてくれて、おかげで私の胸のつかえもようやく取れた気がした。
ひと通り買い物を終えて、
「じゃあ、また部活でね!」
と美波と解散する。
一人になって、私もそのまま出口に向かって歩いていた、そのときだった。
「……あれ、柚那?」
後ろから聞き慣れた声がして振り返ると、そこには新太と、見知らぬ男の子が立っていた。
「新太! なんでここにいるの?」
「いや、こいつとちょっと用事あってさ。お前、今帰り?」
新太の地元の幼馴染だというその男の子は、人懐っこい笑顔で私を見ると、
「へえ、新太の学校の友達? めっちゃ可愛いね! よかったらLINE交換しようよ。今度みんなで遊ぼう」
と、爽やかにスマホを差し出してきた。
突然のことに、私はどう対応していいか分からず、困ってしまう。
断り文句が見つからなくて、
「えっ、あ、えっと……」
と戸惑って一歩身を引いた、その瞬間だった。
「おい、ふざけんな。お前に教えるわけねーだろ」
新太が、幼馴染の男の子と私の間に割って入るようにして、一歩前に立った。
いつものようにふざけた口調で言っているけれど、私を振り返った新太の顔は、驚くほど真剣だった。
そのまっすぐな視線に、胸がどきっと跳ねる。
「ケチだなー、いいじゃん別に!」
「ダメ。ほら、行くぞ」
新太は幼馴染の肩を少し乱暴に押すようにして、さっさと歩き出そうとする。
強引に引き剥がされた幼馴染が不満そうに声を上げるのをよそに、新太は私の方をちらりと見た。
「じゃあな、またLINEするわ」
新太はそう短く言い残すと、幼馴染の肩を組んだまま、人混みの中へと消えていった。
別れ際、その男の子が「えー、なんだよ新太のケチ!またねー!」とこちらに手を振っている声が、ガヤガヤとした雑踏の音の中に小さく溶けていく。
静かになったモールの中で、私はなんとなくその場に立ち尽くす。
いつもおちゃらけているのに、さっきの新太はどこか違って見えた。
新太のあの、冗談めかした言葉の裏にあった真剣な目つきが、いつまでもトクンと不自然に心に残っていた。
