新太と一緒に写真を撮り終え、他愛もない会話を交わして別れたあと。
私はみんなと解散し、約束していた場所で柊と合流した。
「柚那、お待たせ!」
普段は見慣れない黒のスーツに身を包んだ柊が、少し照れくさそうに手を振って走ってきた。
「あ……柊! スーツ、すごく似合ってるよ」
「ほんと? 柚那の振袖姿、マジで綺麗……。どうしても今日、直接見たかったんだよね」
私の黒とゴールドの振袖姿を嬉しそうに見つめる彼に、私は胸を撫でおろしていた。
(よかった……さっきまでここに新太たちがいたなんて、絶対に言えないよね……)
偶然とはいえ、元カレである新太と再会して一緒に写真を撮ったことなど、嫉妬深い柊に知られたらどんな大騒ぎになるか分からない。
周囲を見渡して、もう新太たちの姿がないことを確認すると、心の底からホッとした。
「せっかくだし、俺たちもプリクラ撮ろうぜ!」
柊の提案で、私たちはさっきまで私がいたゲームセンターの中へと再び足を踏み入れた。
成人式を終えた若者たちでごった返す店内で、私たちは並んでプリクラ機に入り、何枚か写真を収めた。
印刷されたプリクラを二人で分け合い、ゲームセンターを出て近くのカフェレストランへ向かう。
席に着き、温かいドリンクを一口飲んだときだった。
「そういえばさ、成人式の二次会って無かったの?」
ふいに柊が、ストローを回しながら尋ねてきた。
「あ……ううん、本当はあるんだけどね。柊が今日わざわざ地元まで来てくれるって言ってたから、最初から断っちゃったんだ」
申し訳なさそうに、でも彼を優先したことを伝えるようにそう答えると、柊は当然だというように鼻でフンと息を吐いた。
「ふーん。まあ当たり前だろ。二次会なんて男もたくさん来るんだからさ。もし参加してたら俺、マジで怒ってたから」
感謝の言葉どころか、不機嫌さを隠そうともしない冷たい言い分。
一生に一度の成人式。懐かしい同級生たちと朝まで思い出を語り合いたかった本音を殺し、柊の機嫌を損ねたくない一心で我慢したというのに。
「行ってたら怒ってた」と当たり前のように言い放つ彼の姿に、胸の奥がキュッと冷たく冷え込んでいくのを感じた。
「……そうだよね。送ってくれてありがとう」
結局、特別なロマンチックな雰囲気もないまま自宅まで送ってもらい、静かな自室へ戻る。
「今日はいろんなことがあって疲れたな……。みんなは今頃、二次会で盛り上がってるのかな……」
振袖を脱ぎ、一人静まり返った部屋でポツリと漏らした溜息。
(私……このままで、本当にいいのかな……)
華やかだった一日の終わりに落とされた、重くて冷たい影。
冷え切ったベッドに倒れ込んだ私の脳裏にふと過ったのは――絶対に叶うはずのない、『あの日』の約束だった。
私はみんなと解散し、約束していた場所で柊と合流した。
「柚那、お待たせ!」
普段は見慣れない黒のスーツに身を包んだ柊が、少し照れくさそうに手を振って走ってきた。
「あ……柊! スーツ、すごく似合ってるよ」
「ほんと? 柚那の振袖姿、マジで綺麗……。どうしても今日、直接見たかったんだよね」
私の黒とゴールドの振袖姿を嬉しそうに見つめる彼に、私は胸を撫でおろしていた。
(よかった……さっきまでここに新太たちがいたなんて、絶対に言えないよね……)
偶然とはいえ、元カレである新太と再会して一緒に写真を撮ったことなど、嫉妬深い柊に知られたらどんな大騒ぎになるか分からない。
周囲を見渡して、もう新太たちの姿がないことを確認すると、心の底からホッとした。
「せっかくだし、俺たちもプリクラ撮ろうぜ!」
柊の提案で、私たちはさっきまで私がいたゲームセンターの中へと再び足を踏み入れた。
成人式を終えた若者たちでごった返す店内で、私たちは並んでプリクラ機に入り、何枚か写真を収めた。
印刷されたプリクラを二人で分け合い、ゲームセンターを出て近くのカフェレストランへ向かう。
席に着き、温かいドリンクを一口飲んだときだった。
「そういえばさ、成人式の二次会って無かったの?」
ふいに柊が、ストローを回しながら尋ねてきた。
「あ……ううん、本当はあるんだけどね。柊が今日わざわざ地元まで来てくれるって言ってたから、最初から断っちゃったんだ」
申し訳なさそうに、でも彼を優先したことを伝えるようにそう答えると、柊は当然だというように鼻でフンと息を吐いた。
「ふーん。まあ当たり前だろ。二次会なんて男もたくさん来るんだからさ。もし参加してたら俺、マジで怒ってたから」
感謝の言葉どころか、不機嫌さを隠そうともしない冷たい言い分。
一生に一度の成人式。懐かしい同級生たちと朝まで思い出を語り合いたかった本音を殺し、柊の機嫌を損ねたくない一心で我慢したというのに。
「行ってたら怒ってた」と当たり前のように言い放つ彼の姿に、胸の奥がキュッと冷たく冷え込んでいくのを感じた。
「……そうだよね。送ってくれてありがとう」
結局、特別なロマンチックな雰囲気もないまま自宅まで送ってもらい、静かな自室へ戻る。
「今日はいろんなことがあって疲れたな……。みんなは今頃、二次会で盛り上がってるのかな……」
振袖を脱ぎ、一人静まり返った部屋でポツリと漏らした溜息。
(私……このままで、本当にいいのかな……)
華やかだった一日の終わりに落とされた、重くて冷たい影。
冷え切ったベッドに倒れ込んだ私の脳裏にふと過ったのは――絶対に叶うはずのない、『あの日』の約束だった。
