約束の木曜日。
放課後、駅近くにあるお気に入りのカフェレストランで、私は久しぶりに明里と真美と顔を合わせた。
「柚那〜! 内定本当におめでとうー!!」
「ふたりともおめでとう! お互い無事に決まって本当に安心したね!」
テーブルの上に運ばれてきた華やかなデザートプレートとカラフルなドリンクのグラスを合わせ、三人で弾んだ声をあげる。
大変だった就職活動の思い出や、久しぶりに交わす他愛もない近況報告に花が咲き、さっきまで胸につっかえていた重苦しい空気がゆっくりとほぐれていくようだった。
「やっぱり、明里と真美といると落ち着くなぁ……」
「なにいってんの、当たり前でしょ! 高校の時からずっと一緒なんだから」
笑い合いながら一口飲んだ甘いカフェラテが、疲れた心にじんわりと染み渡る。
けれど、会話がひと段落した頃。明里が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「……ねぇ、柚那。さっきからちょっと元気なくない? 就活の疲れがまだ抜けてない?」
親友の鋭い視線に、私は一瞬、返事に詰まってしまった。
せっかくの楽しいお祝いの席で、暗い話題を出して雰囲気を壊したくはなかった。
けれど、昨夜の柊との電話の冷たさと、胸の中に溜まり続けた悲しさに耐えきれなくなって、私はグラスの結露を指先でなぞりながら、ポツリと声を漏らしていた。
「……実はね。今日ここに来る前のことで、昨日の夜、柊にちょっと言われちゃって……」
「え? 柊くんに?」
「うん……。昨日の夜、柊から『明日さ、久しぶりに二人でご飯行かない?』って誘われてさ。今日はお祝い会があるからごめんねって断ったら……『男は来ないのか』って疑われちゃって。『そんなのお祝いキャンセルして俺と過ごせばいいじゃん』って、すごく不機嫌になられちゃったんだよね」
苦笑いを浮かべて明かした私の言葉に、明里の表情がみるみるうちに硬くなった。
「え……? 昔からの女友達同士のお祝いだよ? 男がいるか疑うとか、失礼すぎない……?」
隣にいた真美も、「高校のいつもの三人って知ってるはずなのに……なんでそんな言い方するの」と不安そうに眉をひそめる。
「……でも、好きだからこそ束縛しちゃうのかなって……」
自分に言い聞かせるように絞り出した私の言葉に、明里は静かにストローを置いた。
逃げ場をなくすようなまっすぐな瞳が、私をとらえる。
「それってさ……本当に『好きだから』なのかな?」
明里の真っ直ぐな瞳が見つめてくる。
「好きだから束縛するんじゃなくて……柚那を自分の思い通りにコントロールしたいだけに見えるよ」
その言葉が、私の胸に刺さる。
言い返そうとしたけれど、喉の奥がキュッと絞めつけられたように声が出なかった。
——ブブッ。
テーブルの上で、私のスマホが冷たく震えた。
画面に浮かび上がったのは、柊からの通知。
『今どこ? まだ終わらないの?』
『まさか、男も一緒にいるんじゃないよね?』
画面を見つめる私の指先が、スッと冷たくなっていく。
明里の言葉と、手元で光るメッセージ。
息がうまく吸えないまま、私はただ、震えるスマホを見つめることしかできなかった。
⚠️ 親友から突きつけられた「それって好きとは違う」という言葉。柊の歪んだ支配からどう脱出するのか……続きはぜひ【本棚登録】で見守ってください!
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「柚那〜! 内定本当におめでとうー!!」
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テーブルの上に運ばれてきた華やかなデザートプレートとカラフルなドリンクのグラスを合わせ、三人で弾んだ声をあげる。
大変だった就職活動の思い出や、久しぶりに交わす他愛もない近況報告に花が咲き、さっきまで胸につっかえていた重苦しい空気がゆっくりとほぐれていくようだった。
「やっぱり、明里と真美といると落ち着くなぁ……」
「なにいってんの、当たり前でしょ! 高校の時からずっと一緒なんだから」
笑い合いながら一口飲んだ甘いカフェラテが、疲れた心にじんわりと染み渡る。
けれど、会話がひと段落した頃。明里が心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「……ねぇ、柚那。さっきからちょっと元気なくない? 就活の疲れがまだ抜けてない?」
親友の鋭い視線に、私は一瞬、返事に詰まってしまった。
せっかくの楽しいお祝いの席で、暗い話題を出して雰囲気を壊したくはなかった。
けれど、昨夜の柊との電話の冷たさと、胸の中に溜まり続けた悲しさに耐えきれなくなって、私はグラスの結露を指先でなぞりながら、ポツリと声を漏らしていた。
「……実はね。今日ここに来る前のことで、昨日の夜、柊にちょっと言われちゃって……」
「え? 柊くんに?」
「うん……。昨日の夜、柊から『明日さ、久しぶりに二人でご飯行かない?』って誘われてさ。今日はお祝い会があるからごめんねって断ったら……『男は来ないのか』って疑われちゃって。『そんなのお祝いキャンセルして俺と過ごせばいいじゃん』って、すごく不機嫌になられちゃったんだよね」
苦笑いを浮かべて明かした私の言葉に、明里の表情がみるみるうちに硬くなった。
「え……? 昔からの女友達同士のお祝いだよ? 男がいるか疑うとか、失礼すぎない……?」
隣にいた真美も、「高校のいつもの三人って知ってるはずなのに……なんでそんな言い方するの」と不安そうに眉をひそめる。
「……でも、好きだからこそ束縛しちゃうのかなって……」
自分に言い聞かせるように絞り出した私の言葉に、明里は静かにストローを置いた。
逃げ場をなくすようなまっすぐな瞳が、私をとらえる。
「それってさ……本当に『好きだから』なのかな?」
明里の真っ直ぐな瞳が見つめてくる。
「好きだから束縛するんじゃなくて……柚那を自分の思い通りにコントロールしたいだけに見えるよ」
その言葉が、私の胸に刺さる。
言い返そうとしたけれど、喉の奥がキュッと絞めつけられたように声が出なかった。
——ブブッ。
テーブルの上で、私のスマホが冷たく震えた。
画面に浮かび上がったのは、柊からの通知。
『今どこ? まだ終わらないの?』
『まさか、男も一緒にいるんじゃないよね?』
画面を見つめる私の指先が、スッと冷たくなっていく。
明里の言葉と、手元で光るメッセージ。
息がうまく吸えないまま、私はただ、震えるスマホを見つめることしかできなかった。
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