志望していたクリニックへの就職活動が無事に落ち着き、少しだけ心に余裕ができた頃。
自分の部屋でくつろいでいると、スマホの画面に高校時代からの大切な親友である明里と真美からのグループLINEが跳ねた。
『柚那! 内定本当におめでとうー!!』
『みんな無事に就活終わったし、久しぶりに三人でお祝い会しようよ! いつ空いてる?』
画面に並ぶ弾んだ文字に、私は思わず口元を緩めた。
大変だった就職活動を駆け抜け、こうして大好きな親友たちとお祝いができることが心から嬉しかった。
『ありがとう! うん、絶対行こう! 私は来週の木曜日なら放課後空いてるよ!』
『私も木曜大丈夫!』
『じゃあ木曜日に決定ね! 楽しみ〜!』
トントンとテンポよく決まっていくお祝い会の日程。
私は画面を見つめながら、約束の日を楽しみに思い描いていた。
ーーーーーーーーーー
そして、お祝い会を明日に控えた、前日の夜のことだった。
部屋で明日の授業の準備をしていると、机の上のスマホが震え、柊からの着信を告げた。
「あ、柊? どうしたの?」
通話ボタンを押して明るく声をかけると、受話器の向こうから、少し低い彼の声が届いた。
「明日さ、久しぶりに二人でどこかご飯行かない?」
「あ、明日……? ごめんね、明日は明里と真美と、みんなで就活のお祝い会をする約束をしてて……」
申し訳なさそうにそう答えた瞬間だった。
受話器の向こうの柊の気配が、スッと冷たく引いていくのが分かった。
短い沈黙の後、聞こえてきたのは、探るような嫌なトーンの声だった。
「……ふーん。それ、本当に女子だけなの? 男とか来ないわけ?」
思いがけない言葉に、私は思わず息を呑んだ。
「え……? うん、明里と真美だけだよ? 高校のいつもの三人だし、男の人なんて来ないよ」
「別にわざわざ行かなくてよくね? そんなのキャンセルして、俺と過ごせばいいじゃん」
あからさまに不機嫌を隠そうともしない、自分勝手な言い分。
理由もなく疑われ、親友との大切な予定まで否定されたことに、胸の奥がキュッと強く締め付けられた。
「でも……ずっと前から約束してたし、お互い内定おめでとうって話し合ってたから……」
「俺よりそっちが大事なわけ?」
詰問するような低い声。
彼の機嫌を損ねたくなくて、でもせっかくの親友との約束も破りたくなくて、私は言葉を選びながら必死に優しく説得を重ねた。
「そんなことないよ……。ちょっとだけ顔出して、すぐ帰るから。ね?」
「……はぁ。じゃあ勝手にすれば」
冷たく吐き捨てるように言われ、ブツンと一方的に通話が切れた。
液晶画面が暗転し、静まり返った部屋の中で、私はスマホを握りしめたまま立ち尽くしていた。
(なんで……? 女友達とのお祝いなのに、どうしてそんなに疑われるんだろう……)
私の思いや、私にとって大切な親友との時間を、彼はちっとも尊重してくれない。
「好きだから束縛するのかな」と自分に言い聞かせようとしても、胸の中に重く沈んだ冷たい悲しさは、消えてはくれなかった。
楽しかったはずのお祝い会の予定に、暗い影が落とされたような気がして、私は溜息を殺しながらベッドへと倒れ込んだのだった。
第117話をお読みいただきありがとうございました!
「柊の束縛が理不尽すぎる……」「柚那、負けないで……!」と感じてくださった方は、ぜひページ下の【いいね♡】や【本棚登録📚】で応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!
次回、波乱の「内定お祝い会」へ——。
自分の部屋でくつろいでいると、スマホの画面に高校時代からの大切な親友である明里と真美からのグループLINEが跳ねた。
『柚那! 内定本当におめでとうー!!』
『みんな無事に就活終わったし、久しぶりに三人でお祝い会しようよ! いつ空いてる?』
画面に並ぶ弾んだ文字に、私は思わず口元を緩めた。
大変だった就職活動を駆け抜け、こうして大好きな親友たちとお祝いができることが心から嬉しかった。
『ありがとう! うん、絶対行こう! 私は来週の木曜日なら放課後空いてるよ!』
『私も木曜大丈夫!』
『じゃあ木曜日に決定ね! 楽しみ〜!』
トントンとテンポよく決まっていくお祝い会の日程。
私は画面を見つめながら、約束の日を楽しみに思い描いていた。
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そして、お祝い会を明日に控えた、前日の夜のことだった。
部屋で明日の授業の準備をしていると、机の上のスマホが震え、柊からの着信を告げた。
「あ、柊? どうしたの?」
通話ボタンを押して明るく声をかけると、受話器の向こうから、少し低い彼の声が届いた。
「明日さ、久しぶりに二人でどこかご飯行かない?」
「あ、明日……? ごめんね、明日は明里と真美と、みんなで就活のお祝い会をする約束をしてて……」
申し訳なさそうにそう答えた瞬間だった。
受話器の向こうの柊の気配が、スッと冷たく引いていくのが分かった。
短い沈黙の後、聞こえてきたのは、探るような嫌なトーンの声だった。
「……ふーん。それ、本当に女子だけなの? 男とか来ないわけ?」
思いがけない言葉に、私は思わず息を呑んだ。
「え……? うん、明里と真美だけだよ? 高校のいつもの三人だし、男の人なんて来ないよ」
「別にわざわざ行かなくてよくね? そんなのキャンセルして、俺と過ごせばいいじゃん」
あからさまに不機嫌を隠そうともしない、自分勝手な言い分。
理由もなく疑われ、親友との大切な予定まで否定されたことに、胸の奥がキュッと強く締め付けられた。
「でも……ずっと前から約束してたし、お互い内定おめでとうって話し合ってたから……」
「俺よりそっちが大事なわけ?」
詰問するような低い声。
彼の機嫌を損ねたくなくて、でもせっかくの親友との約束も破りたくなくて、私は言葉を選びながら必死に優しく説得を重ねた。
「そんなことないよ……。ちょっとだけ顔出して、すぐ帰るから。ね?」
「……はぁ。じゃあ勝手にすれば」
冷たく吐き捨てるように言われ、ブツンと一方的に通話が切れた。
液晶画面が暗転し、静まり返った部屋の中で、私はスマホを握りしめたまま立ち尽くしていた。
(なんで……? 女友達とのお祝いなのに、どうしてそんなに疑われるんだろう……)
私の思いや、私にとって大切な親友との時間を、彼はちっとも尊重してくれない。
「好きだから束縛するのかな」と自分に言い聞かせようとしても、胸の中に重く沈んだ冷たい悲しさは、消えてはくれなかった。
楽しかったはずのお祝い会の予定に、暗い影が落とされたような気がして、私は溜息を殺しながらベッドへと倒れ込んだのだった。
第117話をお読みいただきありがとうございました!
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次回、波乱の「内定お祝い会」へ——。
