君の隣。 〜一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、出会って10年、ずっと私だけを思い続けてくれた「親友の元彼」でした〜

休日の夜。課題もひと段落して、私は自分の部屋でベッドに横になりながら、ぼんやりとスマホの画面を眺めていた。

画面に表示されているのは、勇斗とのトーク画面。

最後に届いたメッセージをもう一度読み返し、画面を閉じようとしたその時、画面の上部にピコンと小さな通知が跳ねた。

SNSアプリからの、見慣れないダイレクトメッセージ。

(誰だろう……?)

不思議に思いながらタップして開くと、差出人の名前に思わず目を丸くした。

『柚那ちゃんのアカウントかな? 間違ってたらごめんなさい、同じ専門の佐藤柊です。わかるかな?』

柊からだった。

スクロールする指がピタリと止まる。まさか彼から個別にメッセージが届くなんて思ってもみなかった。

(柊……? なんで私のアカウント知ってるんだろう)

この前、学校の帰り際に千恵ちゃんに声をかけて、直接LINEを聞いていた彼の姿が脳裏をよぎる。

小さな疑問を抱きつつも、私はゆっくりと返信を打ち込んだ。

『わかるよ! 合ってる! メッセージなんてどうしたの?』

送信してすぐに、画面の向こうで『既読』がついた。

『共通の友人辿ったらたまたま見つけた! 直接聞けばよかったんだけど、よかったら今度LINE交換しない?』

『うん! わかった、いいよ!』

『ありがとう! じゃあまた学校でね』

拍子抜けするほどあっさりとしたやり取りで、その日の会話は終わった。

画面を暗転させ、スマホを胸の上に置く。

わざわざ共通の知人を辿って私を見つけ出し、連絡をしてきたことへの驚きと、どこか不思議な感覚が胸の中に残っていた。

ーーーーーーーーーー

週が明け、月曜日の朝。

駅の改札前で優奈と合流し、二人で世間話をしながら学校へと向かった。

「今日って、一時間目から自由席だっけ?」

「そうそう。早めに行って、いつもの端っこの席キープしよ!」

教室のドアを開けると、まだ人はまばらだったけれど、その中にすでに着席している柊の姿があった。

目が合うと、彼はいつもの人懐っこい笑顔で小さく手を振ってくる。

優奈と並んでカバンを置き、授業の準備をしていると、トントンと肩を叩かれた。

振り返ると、柊が私の席のすぐ横に立っていた。

「柚那ちゃん、おはよ。この前の約束、LINE交換しよ」

「あ、柊。おはよう! うん、いいよ」

そう言ってスマホを取り出すと、柊もすぐに画面のQRコードを表示させて差し出してきた。

読み取って追加ボタンを押すと、画面に『佐藤柊』の名前が浮かび上がる。

「サンキュ! じゃあ、また連絡するね」

「うん、よろしくね」

ひらひらと手を振り返しながら、彼は自分の席へと戻っていった。

その背中を見送った直後、横から強烈な視線を感じて隣を向く。案の定、優奈がニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべて私を突いてきた。

「なになに〜? 朝から堂々とLINE交換しちゃって、いつの間にそんな感じになってんの?」

「ちょっと、声が大きいってば。なんでもないよ。週末にSNSでメッセージがきて、LINE交換しようって言われてただけ」

「ふーん? 進展あるといいねぇ!」

「もう……進展なんてあるわけないでしょ」

呆れ半分に笑いながら優奈に応え、私は自分のノートを開く。

クラスの男の子と連絡先を交換するなんて、よくあることだ。

千恵ちゃんの時には堂々と直接聞きに行っていた彼が、なぜ私にはわざわざSNS経由で連絡をしてきたのか。

少し不思議だなとは思いつつも、私はすぐに頭を切り替え、目の前の授業へと意識を戻した。