入学式当日。
私は駅の改札前で優奈と待ち合わせ、二人で真新しいスーツに身を包んで会場へと向かった。
私の通う専門学校は、医療系の他にも様々な専攻が集まる大きな学校だ。
会場に着くと、少し緊張した面持ちの新入生たちで溢れかえっていて、その独特な熱気と人の多さに圧倒されそうになる。
「すごい人だね……!」
「うん、でも柚那が一緒でよかったー!」
優奈の明るい声に肩の力が抜け、私たちは顔を見合わせてくすっと笑い合った。
無事に入学式を終えたあと、私たちはそのまま街へくり出した。
カフェでランチを食べ、プリクラを撮り、カラオケで声を張り上げて盛り上がる。
出会ったばかりとは思えないほど意気投合して、帰り際の改札前で、優奈は元気に手を振ってくれた。
「今日めっちゃ楽しかった! またすぐ遊ぼうね!」
「うん! 入学式も一緒に行けて嬉しかったよ!」
新しい環境への不安は、優奈のおかげで少しずつ吹き飛んでいく気がしていた。
ーーーーーーーーーー
いよいよ、本格的な登校が始まった。
少し緊張しながら教室の扉を開けると、すでに数名の生徒が着席していた。その中に優奈の姿を見つけて、私はホッと息をつく。
今日の授業は、今後のスケジュールに関する説明と、出席番号順の自己紹介だ。
改めて教室を見渡すと、私たちの専攻は一クラスのみ。大半が女子生徒で、男子生徒の姿はわずか三人しかいなかった。
「じゃあ、出席番号順に一人ずつ自己紹介をお願いします」
担任の先生の言葉を合図に、順番に自己紹介が始まった。
自分の番が近づくにつれて、心臓の鼓動がドクドクと速くなる。ドキドキしながら、私は自分の名前が呼ばれるのを待った。
「はじめまして、下崎柚那です。二年間よろしくお願いします。柚那と呼んでください」
無事に自分の自己紹介が終わり、席に座ると、安堵からどっと肩の力が抜けた。
その後、今後の課題やスケジュールが記載されたプリントが配られ、それぞれの記入作業へと移る。
真新しい紙にペンを走らせようとした、その時だった。
「あの……すみません。ペン、貸してくれませんか?」
ふいに、すぐ隣から声がかけられた。
声のした方へ顔を向けると、隣の席の男子生徒が申し訳なさそうにこちらを見ていた。
少し眉を下げつつも、人懐っこく、どこか柔らかい笑顔を浮かべている。
彼の名前は、佐藤柊(さとう しゅう)。
先ほどの自己紹介で、私と同じ十八歳で、隣の県から通っていると言っていた。おまけに出席番号が私のすぐ隣という縁もある。
「あっ、どうぞ。これ使ってください」
「ありがとうございます! 今日持ってくるの忘れて困ってて……ほんと助かりました」
柊は安堵したように息を吐きながら、丁寧にお礼を言った。
「朝早いの、大変じゃない? 隣の県からだと結構かかるよね」
「んー、でも電車で爆睡できるから案外平気かな。柚那ちゃんは?」
「私は県内だから、そこまでじゃないよ」
少し言葉を交わしてみると、ごく自然に私のことを「柚那ちゃん」と呼ぶ彼からは、警戒心を少しも抱かせない穏やかな声と、優しい眼差しが向けられていた。
新しい教室で、たまたま隣の席になった、気さくで優しそうな男の子。
それが、佐藤柊という人に対する私の最初の印象だった。
私は駅の改札前で優奈と待ち合わせ、二人で真新しいスーツに身を包んで会場へと向かった。
私の通う専門学校は、医療系の他にも様々な専攻が集まる大きな学校だ。
会場に着くと、少し緊張した面持ちの新入生たちで溢れかえっていて、その独特な熱気と人の多さに圧倒されそうになる。
「すごい人だね……!」
「うん、でも柚那が一緒でよかったー!」
優奈の明るい声に肩の力が抜け、私たちは顔を見合わせてくすっと笑い合った。
無事に入学式を終えたあと、私たちはそのまま街へくり出した。
カフェでランチを食べ、プリクラを撮り、カラオケで声を張り上げて盛り上がる。
出会ったばかりとは思えないほど意気投合して、帰り際の改札前で、優奈は元気に手を振ってくれた。
「今日めっちゃ楽しかった! またすぐ遊ぼうね!」
「うん! 入学式も一緒に行けて嬉しかったよ!」
新しい環境への不安は、優奈のおかげで少しずつ吹き飛んでいく気がしていた。
ーーーーーーーーーー
いよいよ、本格的な登校が始まった。
少し緊張しながら教室の扉を開けると、すでに数名の生徒が着席していた。その中に優奈の姿を見つけて、私はホッと息をつく。
今日の授業は、今後のスケジュールに関する説明と、出席番号順の自己紹介だ。
改めて教室を見渡すと、私たちの専攻は一クラスのみ。大半が女子生徒で、男子生徒の姿はわずか三人しかいなかった。
「じゃあ、出席番号順に一人ずつ自己紹介をお願いします」
担任の先生の言葉を合図に、順番に自己紹介が始まった。
自分の番が近づくにつれて、心臓の鼓動がドクドクと速くなる。ドキドキしながら、私は自分の名前が呼ばれるのを待った。
「はじめまして、下崎柚那です。二年間よろしくお願いします。柚那と呼んでください」
無事に自分の自己紹介が終わり、席に座ると、安堵からどっと肩の力が抜けた。
その後、今後の課題やスケジュールが記載されたプリントが配られ、それぞれの記入作業へと移る。
真新しい紙にペンを走らせようとした、その時だった。
「あの……すみません。ペン、貸してくれませんか?」
ふいに、すぐ隣から声がかけられた。
声のした方へ顔を向けると、隣の席の男子生徒が申し訳なさそうにこちらを見ていた。
少し眉を下げつつも、人懐っこく、どこか柔らかい笑顔を浮かべている。
彼の名前は、佐藤柊(さとう しゅう)。
先ほどの自己紹介で、私と同じ十八歳で、隣の県から通っていると言っていた。おまけに出席番号が私のすぐ隣という縁もある。
「あっ、どうぞ。これ使ってください」
「ありがとうございます! 今日持ってくるの忘れて困ってて……ほんと助かりました」
柊は安堵したように息を吐きながら、丁寧にお礼を言った。
「朝早いの、大変じゃない? 隣の県からだと結構かかるよね」
「んー、でも電車で爆睡できるから案外平気かな。柚那ちゃんは?」
「私は県内だから、そこまでじゃないよ」
少し言葉を交わしてみると、ごく自然に私のことを「柚那ちゃん」と呼ぶ彼からは、警戒心を少しも抱かせない穏やかな声と、優しい眼差しが向けられていた。
新しい教室で、たまたま隣の席になった、気さくで優しそうな男の子。
それが、佐藤柊という人に対する私の最初の印象だった。
