あの時間を忘れる方法が あるなら

遠く離れた場所の不動産界では大企業の川崎グループがここで説明会をしていることは偶然なのだろうか?

あなたを‥あなたとの幸せだった時間を忘れる為に前に進みたいのにこんなことしてる暇なんて‥

『質問しても構いませんか?帰るのはそれからでも遅くないはずだろう?』

ドキッ


美しい顔で私を見上げる顔に動揺しそうになり、胸の前で持つ資料をグッと力強く握りしめながらも仕方なくもう一度座り直した

『ありがとうございます。では質問します。
‥‥あなたは目の前に困っている人や苦しんでいる人がいたら助けたいと思いますか?』

不動産関係の質問なら詳しくない分答えずに終われると思ったのに、柊さんがして来た質問に
呆気に取られて思わず口が開いてしまいそうになる

‥‥何故そんな質問をしてくるの?

どう答えればいいのか少し悩む間も柊さんの優しい眼差しはずっと私に向けられたままで視線を逸らしてしまった

狭いブース内に2人きり‥‥
少し前までは2人きりで生活していたはずなのに、今ではこんなに胸が苦しい‥‥

「‥‥時と場合によります‥私に出来ない事もありますから」

『そうかな‥‥でも‥君はきっと助けるはずだよ』

「ッ!」

『ついさっきだって、自分よりも会社を心配して席を空けようとしてくれたりするような人だから、優しい人だという事は伝わってる。我が社は実績や経験も勿論大切ですが、この仕事は信頼関係が築ける人でないと成り立たたない‥‥君に来て欲しいと思っている』

ドクン