あの時間を忘れる方法が あるなら

『‥何遠慮してんだよ。』

俯く私の頭を雑ながらも優しく撫でると、1枚の紙を取り出して私に見せてくれた。

『明後日から街のホールで企業説明会や転職相談会がやってるから行ってこいよ。それでもダメなら俺のツテでバイトでも何でも探してやるからさ』

企業説明会‥‥

高卒でアルバイト経験しかない私がそんな場所に行っても大丈夫だろうか?

でもせっかく辰哉君がくれたチャンスだから顔だけでも出せばもしかしたらいい話が聞けるかもしれない‥‥

「うん!ありがとう、行ってみるよ。」

辰哉君に笑顔を向けると、そっぽを向いて頬を指で掻く仕草をした後頑張れと応援してくれた

こんな事になるとは思わなかったからスーツやヒールの靴なんて持って来てないからと、地元の服屋さんで一式揃えおばあちゃんだけでなく、両親にも電話をしてその旨を伝えるとやっぱりみんな何も言わずに応援してくれた

『気をつけて行っておいで。』

「うん、ありがとう」

自転車に乗り駅まで向かうとバスを乗り継いで目的地のある市のホールを目指すと、沢山の企業が来ているのか想像以上に大きな説明会だったんだと足がすくみそうになった

アルバイトの面接はとにかく少しでも多くのお金が必要だったから何でも良かったから、本格的に仕事を探すのはこれが初めてで緊張する

深呼吸をしてホールに足を踏み入れると各ブースごとに仕切られたスペースに沢山の企業が希望者相手に話したり、映像を見せたら、中にはその場で商品などを使って模擬実験のようなこともしていた