あの時間を忘れる方法が あるなら

お祭り当日、おばあさんに莉奈が会いに行っている間に受付で1年分の入居費の支払いを済ませると八雲から電話が入り外へ出た

『どうした、急用か?』

『お休みのところすみません‥社長。佐々木さんの事を調べたところ、実家には一度戻ったようですがその後電車に乗り旅行にでも行かれたようです。また戻られたらすぐに接触出来るよう準備しておきます』

『ああ‥頼む。仕事を増やして悪いな。』

先日結愛のネットバンクに少しばかりの報酬としてお金を振り込んだ

拘束して苦しめた分旅行でも何でもやりたい事をそのお金で楽しんで欲しい‥‥それくらいしか今はしてやれないのだから

夕方一度ホテルに戻り莉奈が浴衣を着付けてもらうとお祭りが行われる河原を歩き海辺を目指した。

まさかそこで結愛に会うとは思ってもみなかったが、髪型や髪色を変えても見間違えるはずがない

ずっと頭から離れなかった彼女と目が合うと背を向けて走り去ったことで確信した

彼女は佐々木 結愛だと‥‥

『莉奈悪い‥仕事の電話で急を要する。スマホを取りに車に戻るからここで待っててくれるか?』

『えっ!?でも花火がもうすぐ』

『すまない‥今しないといけない事だから。
終わったら戻る。』

『えっ!!?柊さん!!』

彼女が走り去った方向を追いかけると賑やかな屋台通りには居なくて、提灯が灯る神社を見つけたのでゆっくりと階段を駆け上がった

絶対まだそんなに遠くには行ってない‥そう願って登ると、木の影から出てきた彼女がつまづき転びそうになったところを何とか受け止めるとその華奢な体を傷付けないように抱き締めた