あの時間を忘れる方法が あるなら

『いつまでこっちに居る?』

辰哉君に冷たい麦茶をコップに注いで渡すと、男らしく一気飲みをして見せた

「期間は未定かな‥‥今仕事休んでるから」

今朝スマホのネットバンクの残高を確認したら柊さんが振り込んだであろう大金に呆然とした

お母様を説得して契約上勤めた事への報酬なのだろう‥‥

家族を助ける為、仕事と割り切ってやったのに、傷ついてしまったのだ

こんなお金要らなかった‥‥

ただ柊さんが幸せで喜んでくれたらそれだけで良かったのだから‥‥

『おい!聞いてるか?』

「えっ!?あ‥ごめん‥考え事して‥何だった?」

『だから、今週末河原で祭りがあるから来いよ。しょぼいけど花火も上がるからさ。』

「わぁ!あのお祭りまだあるんだね。うん、行きたい!!」

『子供かよ‥それじゃあ夕方迎えにくるから』

2つ歳上ということもあり、私の頭をくしゃくしゃに撫でると、辰哉君は配達があるからとトラックに乗って帰ってしまった

お祭りかぁ‥‥。借金を返すことでいっぱいいっぱいだったからそんな行事ごととか久しぶりで嬉しいな‥‥

その時はお祭りで柊さんに再会するなんて思いもせず、数日後の夜を楽しみに待ち侘びていた

「おばあちゃん‥これ、どうしたの?」

お祭り当日、桐箪笥から取り出した浴衣を目の前に置かれて手に取るとおばあちゃんが私の頭を優しく撫でてくれた

『沢山我慢して来たでしょう?おばあちゃんは結愛ちゃんが着てるとこが見たいからお古で申し訳ないけど着てくれる?』

おばあちゃん‥‥