あの時間を忘れる方法が あるなら

『住み込みで働くなんて言い残して3ヶ月近く帰らないなんて‥どれほど心配したか‥』

数ヶ月ぶりに家に戻った私の姿を見て母は心配していたのか泣き崩れ、私も張り詰めていた緊張が解けるかのように思わず泣いてしまった

あんなにあった借金が一夜にして消えた事の説明もちゃんと出来ていなかったけど、柊さんとの契約のことを話せないのでとてもいい人に出会って助けてもらったとだけ話した

「心配かけてごめん‥でもみんな元気そうで良かった‥‥」

『結愛‥‥。お前には苦労ばかりかけた。この先は好きに生きて欲しい‥‥それが父さんの願いだよ。』

お父さんもお母さんもお金を切り詰めて痩せ細ってしまってまで頑張って来たからこれからは我慢した分楽しいことを沢山して欲しいな‥

困難に陥ってもお互いを見捨てずに家族も守って来たその姿は私にとって何よりも誇らしく思える人達だから

「ありがとうお父さん‥‥。私ね、暫くおばあちゃんの家に行こうと思ってるの。ずっと忙しくて会えてなかったから心配で‥‥。」

おばあちゃんっ子の私は、15歳から働かざるを得なかった為私も家族もほぼ10年会いに行けていなかった

それに今柊さんが住んでいるこの街にいるのはとてもツラかったからちょうどいいと思えたのだ

『結愛の好きにしなさい。おばあちゃんも喜ぶだろうから。』

「うん‥」

旅立つ前に真っ先に向かったのはヘアサロンだった。
明るく染めた髪も暗めに戻して、鎖骨下まで伸び切り揃えられた髪もショートボブにして軽さを出し莉奈さんを思い出すことなどないくらい変えたかった