あの時間を忘れる方法が あるなら

『まぁ‥これでなんとかなりそうで助かったわ。あとは何かある?少し疲れたから休みたいんだけど。』

「い‥いえ‥‥では‥私はこれで失礼します。柊さんに去ることを伝えていませんので、ここに来た事も言わないで頂けれ助かります。」

『フッ‥言わないわよ。』

ベッドに横になってしまった莉奈さんに頭を下げてから別荘を後にすると、その足でまたマンションに向かい荷物を急いで纏めた

買ってもらったものは全て置いていこう‥‥。
これは莉奈さんのものであって私のものではないと思うから‥‥

初めて着たドレスやお着物などに触れると、どんなものでも柊さんとの思い出が蘇りそうでクローゼットを閉じると、リビングのテーブルの上にクレジットカードと鍵を置いた。

たった数ヶ月だけだったのに、何年も一緒に過ごしたような時間は私には特別過ぎてすぐには忘れられそうにない‥‥

初めて会った時の印象は怖くて冷たそうな人だったのに、全然違ったし寧ろ温かくて優しい人だった‥‥それを知る事が出来たからこそ、こんなおかしな契約を続けて来れたんだと思う

柊さんじゃなかったらここまで向き合いたいとも思えてなかったはず‥‥


玄関の扉を閉めたら自動でロックがかかる為、ここを出たらもう二度とここに入る事もない

暫くそこから動けなかったが、誰もいない部屋に向かって最後に深く頭を下げると、私はこの夢のような生活を終わらせる為マンションを後にした