あの時間を忘れる方法が あるなら

仕方ない‥‥

自分が愛する人と他人が同じ屋根の下で数ヶ月暮らしていたなんて聞かされたら誰だって嫌な気持ちだって芽生えるはず

例えそれが偽りの関係だったとしても‥‥

「今日川崎さんの元を去る前に莉奈さんに聞きたかった事があったんです。」

『何?』

「‥‥昔‥川崎さんを助けた時傷を負われたと聞いたんです。」

自分の中にある記憶‥‥

あの男の子と経験したあの日の出来事は今でも忘れられない‥‥

偶然でも、顔立ちが似ている私達がこんな同じような経験をするだろうか?
柊さんに話を聞いた時から違和感を感じていたからどうしても聞きたかったのだ

『ふふ‥‥これ?‥‥確かに柊さんを追って救った時に山から落ちた時についた傷よ?
私を施設から引き取った祖父母の家が近くにあって、偶然逃げていた柊さんを見つけて助けたの。』

こめかみが見えるように髪をかきあげた際に見えた傷が自分の傷と同じで目を見開く

話も辻褄も全部合ってる‥‥‥

柊さんは私と会った時以外にも同じように襲われた事があるのかもしれない‥‥

莉奈さんが自然体で話す内容にとても嘘があると思えなかった

じゃあ‥私が会ったのが柊さんではないということかもしれない‥‥。私は男の子の名前すら聞かなかったし、顔立ちだって記憶上は曖昧だ

「お二人の再会は‥‥運命みたいですね。」

何故か自分のこめかみの傷が痛みながらも柊さんと莉奈さんの絆の深さを改めて感じた

『ありがとう‥‥あなたも私達の為に頑張ってお母様を説得してくれたんでしょ?あの人耳が聞こえないからどうしようか悩んでたのよ。』

えっ?