あの時間を忘れる方法が あるなら

次の日、お屋敷を出る前に蘭さんの元を訪ねたかったが、お母様から発作が続いていてとても話せる状態ではないと聞かされ、手紙を書いて渡してもらう事にした

約束をしたのに守れない事への謝罪を伝えたかったが、今度は本物の莉奈さんがきっと話し相手になってくれるはず‥‥

だからまた会いましょうと手紙に綴った

『佐々木さん‥今日仕事を早く終わらせて帰るから今までの感謝も込めて君を夕食に誘いたい』

「‥わかりました。」

『うん‥それじゃあ行ってくる』

マンションまで送ってもらうと、柊さんはお仕事に行かれたので、私はすぐにタクシーを呼び莉奈さんの元へと向かうことにした。

一つだけ確かめたい事がどうしてもあった事と、伝えたい事があったからだ

「こんにちは、佐々木です。」

使用人の方に部屋に通して貰うと、まだベッドに横たわってはいるものの、体を起こすまでに回復していた莉奈さんにホッと胸を撫で下ろす

「突然訪ねてしまいすみません。」

『‥‥いいのよ。私もあなたと話してみたかったから。』

えっ?

見た目は黙っていれば自分でも良く似てると思える顔立ちだが、改めて聞くと声や雰囲気なんて全然似てないと思えるほど自分よりも大人に思え、莉奈さんが戻られた時バレてしまわないか不安になった

『この数ヶ月‥柊さんと一緒に住んでいたみたいね?‥‥楽しかった?』

「ッ‥‥楽しいとかそういうのは‥契約上の仕事としてでしたから」

『そう‥‥迷惑をかけたわね。もう柊さんのそばには私がいるからあなたは心置きなく辞めてもらって構わないから安心して?』

ドクン

別に感謝されたくてここに来たわけではないけれど、思ってた以上にトゲのある話し方に少し怖さを感じてしまった