あの時間を忘れる方法が あるなら

「‥‥どして‥ここに‥」

熱を出して眠ってしまっていたのは分かるけれど、柊さんが隣で眠っていた事に動揺して驚きを隠せない

『熱が出て倒れたと聞いた‥‥体調はどう?』

「‥平気です‥それより莉奈さんは」

起きあがろうとすれば、横から伸びてきた腕にそれを制されまた柊さんと見つめ合う体制に胸が苦しくなり背を向けた

「柊さん‥‥もう私の役目は終わりました。なのでもうここにいる必要もないんです。マンションに連れてって下さい‥ッ‥荷物を纏め‥」

『まだ終わってない‥‥』

ドクン

背後から私の体に巻き付く柊さんの腕を振り解きたいのに全く勝てず、柊さんが私の首元に顔を埋める

「柊さ‥いいえ‥川崎さん、もう無理して演じなくていいんです‥もう莉奈さんは目覚めました‥契約は終了のはずです!身代わりは必要ないんです」

出してはいけない感情を押し殺すかのように告げると、柊さんの腕の力が更に強く込められたかと思えば次の瞬間仰向けにされ柊さんの綺麗な顔に見下ろされてしまった

「もういいんです‥‥私には充分過ぎるくらい夢のような時間でした‥‥契約上なのに、優しくして下さりありがとうございます。こんな事がなければ‥出会うはずのなかった人と恋人ごっこができて楽しかったですし‥贅沢な生活が出来てラッキーでした」

これ以上少しでも優しさなんて貰ったらとても耐えられる自信がなかった

それならいっそ嫌われた方がまだマシだと思えたのだ。