あの時間を忘れる方法が あるなら

柊さんと何度も何度も交わしたキスの事が頭から離れず、なかなか眠りにつけなかったからか、次の日は朝眠気が残ってしまっていた

「おはようございます」

未だ挨拶程度しか言葉を交わしていないお母様にいつものように挨拶をしてから用意した朝食をテーブルに並べてゆくと扉が開き柊さんがやって来た

『母さんおはようございます。莉奈もおはよう。』

「おはようございます、柊さん」

昨夜のことを除けばいつもと変わらない朝なのに、柊さんの綺麗な顔立ちがいつもよりも素敵に見えてしまい頬が赤くなってしまう

それに気付いたのかクスクスと笑う柊さんを他所に必死で気持ちを落ち着かせながら食事を並べ終え食べ始めた

『母さん。お茶を点てるのが趣味ですし、今日は莉奈も一緒にどうですか?』

えっ?

今日も品のあるお着物に身を包むお母様に手話で柊さんが話しかけると、一瞬返答に困った様子だったが私の方を見たお母様が口を開いた

『好きにしなさい。』

『だそうだ。莉奈‥あの着物をシズさんに着付けてもらって行くといい。母さんは君と仲良くしたいけど不器用なだけだから心配しなくてもいい』

柊さん‥‥

私の為にお母様に関わる時間を敢えて作ってくれたんだと思うと胸が締め付けられる。

「ありがとうございます‥柊さん」

上手く話せないかもしれないけれど、与えて頂けたこの機会を大切にしたいなと思い笑顔を向けると、柊さんも優しい眼差しを向けてくれ私の頭を軽く撫でてくれた