あの時間を忘れる方法が あるなら

「‥‥ッ‥ごめんなさい‥柊さ‥‥んっ!」

突然のことで何が起こっているのか分からなくてキツく閉じていた瞳を開けると、綺麗な顔が目の前にあり、唇に触れた熱にキスをされているのだと驚くと、柊さんがゆっくりと離れた

心臓が止まってしまいそうな出来事に頭が追いつかない‥‥

何で‥‥私にキスなんて‥‥

『‥結愛』

ドクン

誰に聞かれているかもわからないのに、柊さんが自分の名前を呼んだことに目を見開く

『何も心配しなくていい。俺がそばにいると言っただろう?結果が出せなくても駄目でも、俺の為に母と向き合うと決めてくれた事がどんなに嬉しかったか‥‥。だから、君は心配せずに俺に愛されていればいい。』

大きな手が私の頬に触れ、私の顔を上に向かせると、私に優しく微笑んでくれている

愛されていればいい‥‥

契約の時に愛さないと言ったのは佐々木 結愛に対してなのに何故‥私の名前を呼んだの?


『‥‥手放せそうにないな』

「‥んっ」

勘違いなんてしては絶対いけない関係なのに、私を見つめる瞳に吸い込まれるように瞳を閉じると、唇をまた塞がれ、今度はさっきよりも長く何度も角度を変えて啄まれ瞳から涙が溢れる

このままこの時間が続けばいい‥‥なんてどんなに願っても叶わない

だからこそ、この夢のようなシンデレラストーリーが終わる日まで偽りだとしても柊さんから向けられる愛を感じていたいと思ってしまう

何かを感じ取ったのか指で私の涙を丁寧に拭いながらも、柊さんは優しいキスをして暫く私を離してくれなかった