あの時間を忘れる方法が あるなら

そうは言ったものの‥‥

お仕事に行く柊さんを見送ってからお屋敷内に戻るものの、広い玄関で立ち止まり考える

時間はまだ8時‥‥
ずっと忙しく動いて生きて来た人種にとっては、何もしないという時間の使い方に慣れていない

教えてくださいと言った以上、お母様を観察するのが勿論1番だとは思うけれど、まずはお屋敷を散策でもしようかな‥‥

柊さんの生まれ育った場所に来る事が出来たのも偶然とはいえ本来なら立ち入れる立場じゃない

もう一度外に出ると、美しい日本庭園が見たくてお庭に向かうと、お屋敷とは別で平屋の家が敷地内にある事に気付いた

大きなお屋敷とは別に普通の一軒家のような大きさの平屋があるなんて‥‥

失礼かもしれないけれど、お金はあるはずなのにどうして最低限の使用人しか雇わないのだろうか‥‥

暫く庭園や美しい鯉が泳ぐ池を眺めていると、視線を感じた気がして辺りを見渡すが、誰も居なかったことに気のせいかと思いお屋敷に戻ると、シズさんと呼ばれていた女性が掃除をしていた

「あの‥お手伝いしたらご迷惑ですか?」

『お掃除をですか?』

「はい。掃除は得意ですし、お一人だととても大変だと思いますし‥‥」

『奥様からは自由にとのことですので、お願いしましょうか。』

「ありがとうございます。動きやすい服装に着替えてからすぐ戻ります。」

それから数日は冨田さんと朝食を作り、柊さんを見送り朝の散歩を終えてからシズさんの掃除を手伝った