あの時間を忘れる方法が あるなら

柊さんの大きな手が私の顔を覆う両手に触れてサイドに避けると、私を見つめる瞳の優しさに顔が更に熱を持つ

『君はほんと‥すぐ赤くなるな‥‥』

「ッ!それは‥柊さんが‥」

『俺が?』

この先言おうとしていた言葉が喉元まで出掛かると、声を失ったかのように固まる

(‥‥こんな顔してしまうのは柊さんだから‥
柊さんが偽物の私を愛おしむような顔を向けてくるから‥‥。そんな顔されたら隠したくても隠せなくなる)

『フッ‥‥今て君の名前を呼べない事がとても残念だ‥‥続きはまた家に帰ってからだな。』

「ッ!!」

握られた掌に綺麗な顔を寄せた後、美しくて溜息が出てしまうほど素敵な視線を私に向け掌に唇を寄せて優しいキスを落とした

その後も髪の毛を本当に乾かしてくれると、柊さんは自分の部屋に戻ってしまい、ようやく緊張感から解放されるとベッドに突っ伏した

‥‥きっと私が不安から失敗しないように、沢山甘やかしに来てくれたんだと思う‥‥


君の名前って‥今私は莉奈さんなのに‥‥

熱を出してから柊さんの優しさは度を増していて、気を緩めてしまうと自分が前面に出て来てしまいそうになるのを感じていた

「はぁ‥」

明日から何をすればいいかすらまだ分からないのに、先程のこのベッドでの時間が蘇ってしまうのは、柊さんのシダーウッドの香りがここに残っているせいかもしれない

明日からまずここで何をしたらいいのだろう‥

一週間はとても短い‥‥

何が答えかはお母様しか分からない‥‥自分で見つけるしかないのだ‥‥