あの時間を忘れる方法が あるなら

柔らかいベッドが2人の重みで沈み、私の早い鼓動の他にもう一つの心音が重なる

「し、柊さん!すみません!私倒れる時にもしかして柊さんの服を引っ張ってしまったかもしれません‥ッ」

どうしよう‥‥こんな体制のままだと心音が伝わってしまう‥‥

何も言わない柊さんの視線を真上に感じ、やっぱりその視線に耐えられずに顔を横に背けると、柊さんが近づき首筋に顔を埋めた

「柊さん!?」

『‥‥あと少しだけこうしてたいと言ったら困るか?』

えっ?

首筋に柊さんの唇が触れると体がビクッとハネてしまい恥ずかしさに両手で顔を覆う

こんな状況で、こんな事をしている場合じゃないのに、彼の体温や香りに張り詰めていた緊張感が殆どけていくなんて言えない‥‥

私が私を見失ったら絶対駄目なのに、柊さんの声や温もりは最大限に私を甘やかしてゆく

「困ります‥‥でも‥‥でもそばには居て欲しいです‥‥ッ‥困りますか?」

私の声に柊さんが埋めていた顔を上げて真上から私をまた見下ろすのを顔を覆っていた指の間から見ると、そんな事を言った自分に早速後悔した

どの立場で雇い主に物申したのだろうと‥‥

莉奈さんだったら心置きなくそばに居たいと言ってくれると思うのに、私なんかが言ったところで叶うはずもないのに‥‥

『‥困るわけないだろう?君からの初めての願い事だ‥‥そばにいる‥だから安心しろ‥』

ドクン