あの時間を忘れる方法が あるなら

莉奈は服や宝石をプレゼントすればこの上なく喜んでくれた

でも、佐々木さんは勿体無くて使えないとプレゼントしてもそれを大事にしまってなかなか使ってくれなかった

そんな彼女を連れて街に行った時に、遠くを見つめて微笑む姿に、このまま何処かへ行ってしまうのが怖くなった

どんなにいいものを与えるよりも、街で食べたジェラートに頬を緩ませて喜んだ姿に今まで押さえて来た気持ちが溢れそうで困ったのだ

小さな手

華奢で壊してしまいそうな体型

そんな弱々しい彼女が見せた本当に幸せそうに笑ったあの笑顔をずっと見たかったしこれからももっと笑顔でいさせてあげたい

マンションに送り届けてから仕事に戻る時も、見えなくなるまで見送ってくれ、バックミラーで小さくなるその姿に笑みが溢れたのだ


『フッ‥‥‥こんな気持ちをここに抱くなんてほんと‥‥最悪だ。君に出会えた事は本当に俺にとって奇跡に思えるな‥‥』

出会うことのなかった彼女

そんな彼女を見つけた事も奇跡だし、もしも運命という言葉があるなら信じてみたい‥‥そんな風に思えた

柊 side end