あの時間を忘れる方法が あるなら

莉奈には説得できるように頑張ると伝えると喜んでくれたが、何も状況は変わらないままだった

その矢先、莉奈が運転する車が交通事故を起こし、真っ先に両親にその事が回らないように動いたし、病院に入院すればすぐにバレてしまう事を恐れて内緒であの家を購入し莉奈を匿う事にしたのだ

そしてその間を埋めるために、偶然見つけた佐々木 結愛を莉奈の身代わりにすることにした

今思うと‥本当に身勝手でどうしようもないクズがやる事だと後悔している

誰かの手を借りて騙してまで得た幸せが続くなど思えなくなってしまったからだ‥‥

莉奈には一生かけて償いたい気持ちは今でも変わらない‥‥。どれだけ考えてもあの時逃げ切れてなかったら生きてなかったかもしれない

では‥‥佐々木さんに対してはどうだろうか

欲も出さず、両親を助けた事に対して契約と向き合い、八雲も言うように文句も言わず毎日ひたむきな姿勢で生きている

感情をむき出しにして涙を流したり、震えながらも俺の隣に立つことを辞めず、彼女を莉奈として扱い呼んでも嫌な顔一つ見せない

彼女の見せる仕草一つにも自然と触れたくなり、安心させたくて腕の中にいつまでも閉じ込めておきたいとさえ思ってしまう

こんな息苦しくて汚い世界に巻き込んでおきながら、どうしてもその手を離せないのだ

母と向き合うと決めてくれた彼女の気持ちを尊重したいし、そばで支えてやりたいと思っている。

もうじゅうぶん俺のために‥俺たちのために動いてくれた彼女に何がしてあげられるだろうか?